櫨まどかの活躍だけが光明。「これがなでしこ!」という攻撃の軸を作れ (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 日本はこの後、60分に宇津木瑠美(シアトル)と北川ひかる(浦和L)の間を崩され、80分には左サイドからの攻撃で2点を失うのだが、そのいずれも途中交代で入ったテイラー・スミスのアシストによるものだった。そのスルーパスを目の当たりにした阪口が「驚愕だった」とこぼすほど、精度の高いボールではあったが、一方で日本が走り込む選手を見逃したり、ボールに行くのか、人に行くのかなど、守備の曖昧さが引き起こした失点でもあった。

 終始縦への展開を意識していた阪口。前の2試合と比べれば、その点では確かに攻撃の推進力は向上した。「最後のところの崩しのアイデアがないことを痛感しました。縦への意識は表現できたところもあったけど、結果0-3ですから。負けたら意味ないです」(阪口)

 大舞台でアメリカと何度も戦ってきた阪口が感じる"差"は、若手よりもある意味大きいのだろう。ボールの奪われ方のマズさからの失点も、「いつも同じことを繰り返している」とこれまでにない厳しい表情を見せた。

 そんな阪口が唯一可能性を口にしたのが櫨(はじ)まどか(伊賀FC)の存在だった。今回初招集された遅咲きの29歳。アメリカに入ってからは、紅白戦で阪口とボランチを組むこともあった。第2戦の残り11分でピッチに投入された際は、右サイドハーフでの起用。そしてアメリカ戦で櫨が掴んだのは、スタメン2トップの一角だった。かねてより高倉麻子監督が試したかったポジションだ。

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