心許ないハリルホジッチ采配。イラク戦で「悪い予感」がさらに膨らんだ (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 原口がいわばアタッカーであるのに対し、倉田はMF系。両者のプレーエリアは、倉田の方が一段低い。このとき、原口と入れ替える候補はもう1人存在した。乾貴士だ。数日前、それまで香川真司がつけていた10番を背負うことが決まると、大衆的なメディアはスター誕生とばかり、この非サッカー的な話を喜々として伝えたが、ハリルホジッチが選択したのは、その乾ではなく倉田だった。

 2点目を取りにいくというより、1-0のまま締める。この交代にはそうした守備固め的なメッセージが込められていた。そう思わずにはいられなかった。最大の「敗因」はこのメンバー交代にある。

 ピッチ上では、それと時を同じくして、酒井宏樹が足を痛め、動けなくなっていた。手を打つべきは、まずこちらだった。さらに久保裕也も足に変調をきたし、動けなくなりつつあった。にもかかわらず、ハリルホジッチ率いる日本ベンチは守備的な采配を行なう。そしてその2分後、イラクに同点ゴールを浴びてしまった。

 イラクの19番(マフディ・カミル)が、日本ゴールにボールを流し込もうとした最後の瞬間、酒井宏樹はその場にいたにもかかわらず、足を伸ばすことができなかった。戦力になっていなかった。

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