昇格2年目の長野パルセイロが、なでしこリーグ上位なのには秘密がある (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 膝に負担がかかる動作として、着地で膝が内側に入る、膝が前に出すぎるのがよくないという知識はあっても、自分がその予備軍である自覚と、それに対する改善策の両方が欠如していた。就任初年度である昨シーズンは、予防プログラムを毎日取り入れた。一般的に1日10分から15分のプログラムを週に2、3回入れれば、前十字じん帯損傷の発生は半数にできると言われている。しかし、年間3名もの前十字じん帯損傷者が2年連続して出ているのは、女子サッカー界の中でもかなり多い。樋口コーチは週に5日、つまりオフと試合の日を除くすべての日程で予防プログラムを徹底させた。

「何が正しい動作で、何がそうでないのかということと、競技の中では瞬間的に高負荷がかかる中で、自分の体重を安全にコントロールできることが重要。しかも試合中はそれがトップスピードの中で行なわれるし、人と人とのコンタクトでそれを持ちこたえなければいけないことの繰り返しなんです」(樋口コーチ)

 さらに同時進行でウエイトトレーニングも取り入れていく。女子サッカーに限ったことではないが、正しいウエイトトレーニングを行なえていない選手が実は多い。「高負荷をかけた状態でついた癖はプレー中にも絶対に出る」と樋口コーチは言う。正しいフォームを意識することが、プレー中でも安全性が保たれることにつながるというわけだ。

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