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本田圭佑は毒か薬か。「落選リスク」を
回避したハリルホジッチの思惑 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Sano Miki

 ハリルホジッチは、判断を先延ばしにしたのだと考える。英断を下した末に試合に敗れれば、それこそ解任騒ぎに発展する。「落選」はハリルホジッチにとって、よりリスクの高い決断なのだ。それを避けた。勇気がなかったと言うべきか。

 それが混乱の火種になる可能性もある。サッカーは個人の成績が数字で表れにくい競技だ。記録はゴール数(得点ランキング)などに限られる。誰を選ぶか。誰を使うかはすべて監督の思惑次第。野球との決定的な違いでもある。WBCを戦う日本代表チームに、数字を残せていない選手はいない。大物でも、昨季不振だった選手は落選している。選考基準がある程度は明快であるのに対し、サッカーは限りなくグレーだ。

 オシムは、選手選考を「監督の趣味」だと述べた。「私の趣味に意見することはできても、変えることはできない」とも述べている。

 代表に招集されなかった選手、招集されても起用されなかった選手と、実際に使われた選手の間には、精神的に大きな差が生じる。外れた選手、起用されなかった選手のストレスは半端なく大きい。

 なんであの選手が選ばれるんだ。なんでスタメンで使われるんだ。選手の間に不満は常に燻(くすぶ)っている。出場機会を求めようとせず、ミランベンチに敢えて意図的に居座り続けるかのような本田への不満も、少なくないと思われる。

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