4年前とは激変。本田圭佑のコメントで日本の「劣化」がよくわかる (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 わずか4年にして、日本代表はここまで変わってしまった。有り体に言うなら、弱くなってしまったのである。オーストラリアを相手にアウェーの地で、あれだけボールを支配して圧倒していた強さは完全に失われていた。

 長谷部は「ボールを奪ったあとのカウンターの精度」を課題に挙げ、「(オーストラリアの)DFラインの足の遅さ、アジリティーのなさを考えれば、もう少しチャンスが作れたかなと思う」と語った。だが、そこまではっきりと短所がわかっていながら、そんな相手に「守ってカウンター」を選択せざるをえないのが、日本の現状なのだろう。

 もちろん、世界中を見渡しても、永久に右肩上がりで成長を続けるチームなど存在しない。時間の経過とともに選手は入れ替わり、抱える選手の能力はその時々で変化する。アルゼンチンにしても、常にメッシのような選手がいるわけではない。2010年にW杯で準優勝したオランダが、6年後にはユーロの本大会に出場できなかった例もある。

 しかし、だからといって、日本はもう4年前ほど強くないのだから、現実的な戦いをするしかないと諦めてしまっていいのだろうか。5日前のイラク戦よりも意図を持った試合ができているのだからと、それを評価している場合なのだろうか。

 前の試合では相手のカウンターを恐れて、DFラインの背後へボールを蹴るだけの攻撃に終始し、今度は守りを固めてカウンター狙い。臨機応変と言えば聞こえはいいが、長期的な視野に立ったとき、これが本当に日本サッカーの強化、あるいは成長につながるのだろうか。

 どうにも腑に落ちない10月の2試合だった。

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