ひどすぎたトゥーロン。リオ五輪へ向けU-23代表に残された大きな宿題 (4ページ目)
今大会で得た経験は間違いなく大きなものだ。特にこの世代はU-20ワールドカップに出場した選手がひとりもおらず、アジア外での国際経験に乏しい。だからこそ、こうした経験は彼らにとって重要であり、大きく成長するきっかけとなる可能性は十分にある。
対戦相手のしたたかさやずる賢さを味わい、ちょっとしたスキを突かれただけで負けてしまうことがあると、彼らは初めて知った。手倉森監督が「ピッチ内で体感したことが彼らを高める」と話す言葉の通りである。
それはJリーグを戦っているだけでは、あるいは、アジア予選を戦っているだけでは感じることのできないものだ。今大会では南米、アフリカ、ヨーロッパと、タイプの異なるチームとまんべんなく対戦できたこともよかった。
問題は、今大会の結果を受けて、監督や選手が本当の危機感を持てるかどうかだ。
北京五輪のときも、ロンドン五輪のときも、当時のU-23日本代表はトゥーロンの地で、相手との力の差をまざまざと見せつけられる試合を経験した。相手のすばやい攻撃に後手を踏み、どう対応していいか分からなくなるほど、窮地に陥る経験をしたのだ。
選手たちの口からは、素直に弱音がこぼれた。だからこそ、彼らは危機感を持った。このままでは自分たちは通用しないと、身に染みて感じることができた。
しかし、今回は違う。
1勝しかできなかった結果とは裏腹に、ほとんどの試合である程度のシュートチャンスが作れ、攻勢に立つ時間も長かった。どうにも対応しようがないほど、鋭い相手の攻めに手を焼くことも少なかった。
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