リオまであと1勝。弱みを強みに、不利を有利に変える手倉森マジック (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 その結果、優れたストライカーやドリブラーは、なかなか現れてこない。それは日本の憂うべき現状として、一般的には受け止められている。

 だが、その状況を裏から見たらどうだろうか。

「突出した個が存在せず、同じような選手しかいない」ということは、裏を返せば、「誰が出ても戦力は大きく変化しない」ということ。つまり、特定の選手に頼らなくとも、常に選手を入れ替えながら戦うことが可能になるというわけだ。

 日本の弱みであるはずの「憂うべき現状」も、見方を変えれば「強み」になる。そのことを証明するように、日本は今大会、まさに総力戦で勝ち上がっている。

「この大会には全員を使うつもりで来た。(全員を)使いながら勝ち続ける力をグループリーグで示せたと思う。それは(メンバーを)変えながら行かないと勝てないということでもある」

 同じ公式会見の場で、手倉森誠監督がそう語っていたように、この大会の日本は試合ごとに選手をうまくローテーションさせながら起用することで、コンディショニングを高めている。

 グループリーグでの先発メンバーは第1戦から第2戦では6名が、第2戦から第3戦では10名が入れ替わっていたが、決勝トーナメントに入ってもそれは変わらず、準々決勝でもグループリーグ第3戦から8名が入れ替わった。

 準々決勝の相手であるイランは、グループリーグ第3戦から中3日。対する日本は中2日と1日分の不利があったが、入れ替わった8名の選手について言えば、グループリーグ第2戦から中5日である。日程の不利を覆すには十分な試合間隔だった。

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