【なでしこW杯】骨折退場の安藤梢が残した「勝ち点3以上のもの」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 思いがけないそのシーンが訪れたのは29分、安藤梢(フランクフルト)が倒されて得たPKを宮間あや(湯郷ベル)がしっかりと落ち着いて沈め、ガッツポーズとともに先制点を手にした。結局はこのゴールを守りきり、日本は1-0で辛勝した。

 初戦のギリギリまでスタメンが決まらないほど拮抗していた選手たちの仕上がり。

 右サイドのスタメンを掴んだ大野と有吉はここぞとばかりに積極的に攻撃に打って出た。普段のトレーニングからコミュニケーションを取る姿が見られる二人だからこそ、有吉のビルドアップを大野が支え、大野が前線へ飛び出せば、すかさず有吉がサポートに入る。

 後半に入ると攻め込まれる時間帯が増え、有吉は守備に多くの時間を割かれたが、二人は前線への意識を緩めることはなかった。日本の命綱である宮間のいる左サイドを封じられると、大野はダイレクトパスで変化を生み出すなど工夫を凝らし始める。比較的受け身だった右サイドに活気が戻った時間だった。「緊張もあったけど楽しくできた」とは有吉。アルガルベカップではフランスを相手に「ビビッてしまったところもあった」と悔しさを隠し切れなかったが、ここ一番で高い位置を取りながらの強気なプレイを発揮した。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る