アルガルベ杯まさかの敗戦スタート。ここから這い上がれるか

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 一様に暗い表情の選手たちを見れば、この敗戦のショックがどれほど大きいか見て取れる。試合前には「全力を出し切らないと出てくる課題にも意味がない」と口にしていた選手たち。随所に新たな試みを入れ込もうとする苦悩を感じ取ることはできた。

 しかし明確に形になったものは、セットプレイで見せたニアサイドに当てて折り返させるというものと、正面裏をバックヘッドで狙ったもの。セットプレイ時に盛り込む他なかった。それでも、必死に何かを仕掛け、結果と収穫を得ようとする姿勢は最後まで貫いていた。目についたパスミスは多くがそのトライから来ているもの。リスクも承知の上ではあったが、ワールドカップを想定した初戦であったことを考えれば、どんな形であれ、最低でも同点にする力が必要だった。

 終始“速い展開”をした=イニシアティブを握っていた、と言い切ることが、この試合において正解ではない。もちろん、「速い展開で点を獲る」のはなでしこの十八番である。

 しかし、この試合に関して言えば、「速い展開にせざるを得なかった」と見え、そこ以外に突破口を見いだせなかったのではないだろうか。

 実際、後半に入っても大きく崩れることがなかったデンマークに対し、“速い展開”のギアをどんどん上げていった日本は、その速さに自らズレていく皮肉な結果を引き起こしてしまった。世界レベルにおいて、日本は常にギリギリの戦いを強いられる。相手との間合いをツメるタイミング、背後のパスへの食らいつき方、勝敗を握っているのは攻守において、限界のタイミングをどれだけ引き上げられるかだ。特に前半のオフサイドはここにトライした結果である。

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