元U-17監督城福浩が語る「日本の停滞とアジアの進化。その理由」

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緊急特集「よみがえれ! 日本サッカー」(13)

城福浩が考察する選手育成の未来 前編

 U-20W杯、U-17W杯の出場権を逃すなど、日本サッカーの将来を不安視する声がある今、はたして、日本の育成はどうなっているのか? アンダー世代の代表監督としてU-17W杯で日本を率いて、Jリーグでの指揮経験(08年から10年FC東京、12年~14年甲府)も豊富な城福浩氏が、現在の日本の選手育成を分析する。

 日本は4大会続けてU-20ワールドカップ(W杯)に出られず、昨年はU-17W杯への出場も逃してしまった。

 世代別の代表が軒並みアジア予選を突破できなくなってきて、「育成年代の日本人選手のレベルが落ちたのではないか」「日本サッカーの未来は暗いのではないか」という声が私の耳にも届く。

2007年U-17W杯で日本代表の指揮を執り、FC東京や甲府を率いた城福氏2007年U-17W杯で日本代表の指揮を執り、FC東京や甲府を率いた城福氏 たしかにこのままでは、オリンピックやW杯に出られない時代がすぐに来たとしてもおかしくない。ただし、育成年代の選手のレベルが落ちたわけでも、タレントが少なくなったわけでもないと私は思う。

 大前提として確認しておきたいことがある。

 アンダーの日本代表がアジア予選を突破するようになった1995年からの約15年間、日本はアジアで突出した存在ではなく、常に「ギリギリの戦い」を強いられていたということだ。

 私もかつてU-16日本代表を率い、2006年のU-16アジア選手権で優勝したが、イランとの準々決勝はPK戦にもつれ込み、双方12人が蹴り合った末に辛うじて準決勝進出を決めた。北朝鮮との決勝も、延長戦に突入する接戦だった。

 1994年から2006年まで7大会連続してU-20W杯への出場権を獲得した歴代のU-19日本代表は、まだアジアで優勝したことがない。こちらは、さらにギリギリの戦いを制してU―20W杯の出場権をつかみ取っていたのだ。

 では、なぜ日本は接戦をモノにしてこられたのか。

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