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【なでしこ】カナダに連勝。2015年W杯につながる「有終の美」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そして、後半32分には大儀見が相手のクリアミスをさらい、GKの頭上を抜くダイレクトシュートを放って日本が勝ち越し。38分には鮫島彩(仙台)を入れ、さらなるゴールを狙う。しかしロスタイムに、シュミットにゴールを奪われ、再び同点に。残り時間はわずか。ここからなでしこの十八番である粘りが発揮された。

「最後に(チャンスが)一本あると思ったので、逆サイドは捨てて、自分よりも足の速い鮫島選手を前に残した」という宮間の機転に、鮫島が応えた。DFへのボールに寄せた鮫島がボールカット。そのままゴールまで一直線に走り抜けると、最後はGKとの1対1を制して決勝ゴール。最後の一瞬まで勝利を追い求めるなでしこらしい粘り勝ちとなった。

 今年3月のアルガルベカップでも主力級が揃ったが、今回異なるのはカナダに集結した段階ですでに全員に危機感があったこと。今一度、基本に立ち帰ろうと、決まり事など練習前後に話し合い、そこから何をプラスできるかを思案した。とにかく練習で実践し、修正を加える。それを密に繰り返した。

 熊谷は言う。「日本の良さは修正できる力があること」。だからこそ、この10日足らずの時間を大切にしたいと積極的にコミュニケーションを取っていた。試合でも、あえてリスクをおかして、そのチャレンジを実践する余裕もあった。

 ようやく、ワールドカップへ向けて"チーム"としてのスタートを切った。充実感あふれる選手たちの表情に、2連勝という結果だけでなく、その内容に手応えを感じていることがわかる。

 なでしこチャレンジ合宿からスタートし、アルガルベカップ、アジアカップ、アジア大会と目まぐるしい2014年もこのカナダ遠征で代表活動は終了。新戦力発掘のため我慢の日々も続いたが、底上げの時期は終わった。国内組、海外組の精鋭を集った今回のカナダ遠征は、再び世界を獲るための布石となったに違いない。

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