2014.09.06

日本サッカー界にはアギーレより心配なことがある

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 メディアは目の前の試合に一喜一憂することなく、それを根気よく、4年間続けることができるか。

 2002年日韓共催W杯で、韓国代表をベスト4に導いたヒディンクは、就任から本番に至る1年半(18ヵ月)の強化計画表を示しながらこう答えた。

「韓国サッカー協会を説き伏せ、最初の9ヵ月は、あえて強豪と戦い、敗戦から学ぼうとした。その中から使える選手と、使えない選手を見極めようとした。だが、メディアは黙っていなかった。私を批判しました」

 韓国代表の成績は、後半の9ヵ月で急上昇。メディアもその姿を見て論調を一変させた。ヒディンクはこちらに「韓国の記者は何も分かっていない」と嘆いたが、最初の9ヵ月で築いた黒星の山が、2002年W杯でベスト4という成績を収めることができた大きな原動力になっていたことは間違いなかった。

 日本はどこまで我慢できるか。ヒディンクの就任期間は1年半。対するアギーレは4年。もしアギーレが、ヒディンクと同じ手法を採用すれば、2年間、嬉しいニュースは舞い込まないことになる。ともすると不甲斐なく見える戦いを2年間も続ければ、日本代表のテレビ視聴率は、大幅に落ちることが予想される。新聞、雑誌の販売部数も同様。スタンドも満員にならないかもしれない。

 商売が絡むメディアにとっては、代表チームが常に人気選手を多く含むベストメンバーを編成し、常勝集団でいてくれることが望ましい姿になる。だが、これではW杯本番にチームのピークは来ない。ザックジャパンはその最たる例になる。

 4年間の過ごし方。日本サッカー界の問題は紛れもなくここにある。とはいえ、4年は長い。ヒディンクも、任期がもし4年間だったら、その手法は使えなかっただろう。ファン、メディアは耐えきれなくなった可能性が高い。