山口蛍、代表ボランチ3番手が語る「黒子の覚悟」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

「(代表メンバーとして)絶対に生き残りたいと、そこまで深くは考えていなかったですね。セレッソで自分のやることをやって、それで(代表に)選ばれなかったら、仕方がないなって思っていました。それくらい割り切っていたので、今シーズンも特別に代表を意識することなくプレイしていた。チームの調子がなかなか上がらなくて、その結果、W杯のメンバーに選ばれなくても、やむを得ないなって思っていました」

 セレッソは今季、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場したが、決勝トーナメント1回戦で敗れた。ハードスケジュールの中、リーグ戦も13位(第14節終了時点。セレッソは13試合消化)に低迷している。山口はキャプテンとして、チームがなかなか勝てない状況に苦しんでいた。その分、代表のことは余計に考えられなかったのだろうが、ザッケローニ監督の信頼が揺らぐことはなかった。

 山口は、遠藤や長谷部とはタイプが違うボランチだ。ザッケローニ監督は彼に何を求めているのだろうか。

「監督に求められているものは、守備の部分が大きいですね。もちろん、攻撃面でも持ち味を出してほしいと言われていますけど、監督は全体のバランスを大事にしている。僕自身の考えでは、そこを、すごく求められていると思っています。それは、ヤットさん(遠藤)と組んでも、ハセさん(長谷部)と組んでも同じですね」

 昨年11月の欧州遠征、オランダ、ベルギーと戦ったときには、遠藤とも、長谷部ともコンビを組んでプレイしている山口。バランスを重視しながらも、パートナーが変わることで、役割の違いを感じることはあるのだろうか。

「ヤットさんと組んでプレイするときは、できるだけヤットさんの守備の負担を減らせるように、自分が一歩下がってバランスをとる感じです。ハセさんとの場合は、ヤットさんとやっているときよりも守備の比重が大きくなるかな。状況を見て、前に行けるときは行きますけど、その回数はヤットさんと組んでいるときのほうが多いかな、と思います。それは、各々にそうしてほしいと言われているわけではなく、僕が勝手にそう思ってプレイしている感じです」

 攻撃面ではどうか。ザッケローニ監督が目指す攻撃は、高いポジションをとって、細かくパスをつないでいくスタイル。もともとトップ下でプレイしていた山口にとって、攻撃はある意味で本職でもあると思うが、どんなことを意識してプレイしているのだろう。

「(チームとして)縦に速く攻める意識が強いので、どうしても前に急ぎ過ぎてしまうことが多い。状況が悪いときにそうした展開になると、(相手に)ボールを奪われてカウンターを食らいやすい。それを避けるためにも、僕はあまり(前に)急ぎ過ぎないで、自分たちの時間帯、試合の流れに合わせてボールを回すことが大事かなって思っています。要は、メリハリですね。速く攻めるところと、ゆっくりボールを回して落ち着かせるところと、うまく使い分けができればいいかな、と。そのハンドリングを、ボランチの自分には求められているので、試合の展開や流れを読みながら、それをやれればいいかな、と思っています」

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