【なでしこ】NZ戦勝利も、求められるベテランと若手のさらなる融合

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 産声を上げて4日目のチームとしてなら、この試合内容でも致し方ないといったところだろうか。5月14日からベトナムで行なわれる女子アジアカップ(2015FIFA女子W杯のアジア最終予選を兼ねる)を前に組まれたニュージ-ランド(NZ)戦は、なでしこジャパンの現状を如実に表す結果(2-1で勝利)となった。

初のフル代表ながら、今後の可能性を感じさせた吉良知夏初のフル代表ながら、今後の可能性を感じさせた吉良知夏 現在、海外移籍組が多く、代表活動期間が乏しい状況下でアジアカップを迎える日本。さらには、アジアカップの日程確定が遅れ、Aマッチの指定が受けられなかったことで、ヨーロッパ組でアジアカップの全日程に参加できるのは宇津木瑠美(フランス/モンペリエHSC)のみ。大儀見優季(イングランド/チェルシーレディースFC)は大会前日に合流して、グループリーグのみ出場予定だ。

 代わって招集されたのは、猶本光、吉良知夏、乗松瑠華、高畑志帆(4人とも、浦和レッズレディース所属)ら次世代を担うフレッシュな面々だ。アジアカップ初制覇に向けて、9日間という短期間で、今までとは全く別のチームとして戦う集団を作り上げなければならない。今回の壮行試合は現状把握と、なでしこ歴の浅い選手たちに"なでしこ流"を体感させるものとなった。

 立ち上がりこそモタついたが、最後まで大筋の主導権を日本が手放さなかったことは評価したい。攻撃の軸・ボランチは宮間あやと阪口夢穂が担い、左サイドには佐々木則夫監督が得点力として期待を寄せる川澄奈穂美、右サイドには中島依美が入る。

 そして最も注目されたのがアジアカップ仕様の2トップ、髙瀬愛美と吉良千夏だ。ところが、なかなか二人にボールが収まらない。なんとか変化をつけようと宮間が得意のダイレクトパスを駆使して相手を左右に揺さぶり、また、ゴールへの最短距離の道筋を描こうと奮闘する。

 16分、その宮間が左サイドの川澄にパスを通すと、そのままドリブルから切り込んでシュートを放つ。惜しくも、GKに阻まれたが、まさに佐々木監督が描くイメージ通りの攻撃。この形はその後も度々見られた。

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