皇后杯。INAC神戸が4冠達成も、「1強時代」は終焉か!?

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 今シーズン最後のタイトルとなる皇后杯をかけた決勝は、延長PKの末、女王のプライドを貫き通したINAC神戸レオネッサが、全員サッカーでぶつかってきたアルビレックス新潟レディースを下し、史上初となる4冠を達成。目標通り、シーズンすべてのタイトルを制覇した。

リーグ戦、リーグカップ戦、国際クラブ女子W杯、皇后杯で4冠を達成したINAC神戸リーグ戦、リーグカップ戦、国際クラブ女子W杯、皇后杯で4冠を達成したINAC神戸 それぞれの想いが交錯した120分間の激闘だった。自分たちが目指すポゼッションサッカーを最後まで貫いたINAC。今シーズン4度目となる対戦に、新潟も対策は十分だった。中盤をコンパクトに保ちながら徹底したプレッシングを見せて対抗する。それでも、INACは決してサイドからの崩しに切り替えることはなかった。あえての中央突破――厳しくても自分たちの目指したサッカーで優勝する。その意思は最後までブレなかったが、その道は過酷なものだった。

 予想通り、開始から主導権を握ったINACだったが、先制点を奪ったのは新潟。42分、INACのDF磯金みどりからボールカットしたFWティファニー・マッカーティーが待望のゴールを挙げた。それでもハーフタイムに入るとキャプテンの上尾野辺めぐみは「まだ自分たちのサッカーは出来てない。この1点を守って引いても何も残らない」とチームメイトを鼓舞する。

 再び結束を固めた新潟は49分、マッカーティーのスルーパスに反応したMF山崎円美がシュート。さらにその5分後にもカウンターからマッカーティーがゴールを狙う。流れが新潟へと移る中、試合を振り出しに戻したのは65分INACのセットプレイだった。MFチ・ソヨンのFKに飛び込んだのはDF近賀ゆかり。これで同点。その後は互いに決めきれず試合は延長戦へともつれ込んだ。

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