ザッケローニの3-4-3が機能しない理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 しかし、日本代表はジャンプしなかった。今年、再び3-4-3にトライしたものの、それはウディネーゼ時代のものとは概念が180度異なる、5バック同然の守備的サッカーに他ならなかった。

 ザックジャパンは、コンフェデ杯で3連敗。ウルグアイにもホームで大敗し、10月の東欧遠征でもセルビア、ベラルーシに連敗。いまやすっかりムードを下げているが、それは5バック同然の3-4-3の採用と深い関係がある。

 4-2-3-1を途中で3−4−3に切り替える。攻撃的であるはずの3-4-3が浸透しなかった理由は、それと通常採用している4-2-3-1との間には溝が存在するからだ。両布陣は移行しにくい関係にある。

 4-2-3-1は、4-3-3と中盤フラット型4-4-2の、いわば中間に位置する布陣だ。したがって4-2-3-1から4-4-2へは、あるいは4-2-3-1から4-3-3へは、大きな手術をすることなく移行できる。

 4-4-2から4-2-3-1、4-3-3から4-2-3-1への移行もしかり。だが、4-4-2から4-3-3、4-3-3から4-4-2への移行は簡単ではない。移行するためには大きな変化が求められる。その中間に位置する4-2-3-1が今、世界で最もスタンダードな布陣として流行している理由でもある。

 中盤フラットのザック式3-4-3と、中盤フラット型4-4-2も、前で述べたように移行しやすい親戚のような関係にある。それはザッケローニがウディネーゼ時代に証明している。

隣り合う布陣は移行しやすい隣り合う布陣は移行しやすい 中盤フラット型3−4−3、中盤フラット型4-4-2、4-2-3-1、4-3-3。ここで紹介した4つの布陣は、上記のような並びで手を繋ぎ合っている関係にある。

 この4通りの布陣の中で、ザッケローニが採用している中盤フラット型3-4-3と4-2-3-1は、間に中盤フラット型4-4-2をはさんでいる。近しい関係にはない。移行には大きな変化が必要になる。その間にある中盤フラット型4-4-2をマスターしていないかぎり、良好な関係になりにくい。

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