2013.11.11

セットプレイのプロコーチがザックジャパンにラブコール

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 先日、日本で報道されていた『オーストラリアや韓国は代表監督を代えた。だから日本も』という短絡を極めるザック更迭論にはほとんど絶句してしまった。現日本代表を確実に今よりも強くでき、しかもW杯本大会までの8カ月間でそれを成し遂げることができる後任を見出せない今、巷間溢れる「代案なき解任論」には与(くみ)したくない。

 かといってザッケローニ監督の力量を高く評価しているわけでは決してない。むしろ、3年前、ある媒体での記事の末尾に、ザックの日本代表監督就任の報を受けてこのように書いた。『捲土重来(けんどちょうらい)を期待する』と。これは当時、欧州でのザックの監督としての評価が地に落ちていたことを意味する。

 しかし現実には、ザックは3年以上を経た今も日本代表監督の座にあり、最低限の責務とされた2014年W杯出場権獲得を世界最速で達成してみせた。たしかにコンフェデ杯以降は芳しくない戦いが続いているが、かといって本番まで残り1年を切った段階で今までの積み上げを棄てることが有益だとは思えない。

 繰り返しになるが、確固たる監督の代案があるのならまだしも、それがない現状では、変化よりも継続に重きを置く方が得策だろう。

「誰を、どのタイミングで、選手交代で投入すべきだった。なぜならば......」というような後だしジャンケンに過ぎない議論は百害あって一利なし。現状の日本代表を語るうえでメディアが成すべき最も重要な仕事は、感情的な監督批判ではなく、より建設的な提言であると考える。

 そのうえで、今回提言したいのは、「現有資源の有効活用」、具体的には『セットプレイのススメ』である。

「得点力不足」がテーマとなっている日本代表は、イブラヒモビッチやメッシ、または出場試合数よりも得点数が多いクリスティアーノ・ロナウドといった、世界トップのアタッカーを前線に持っていない。

 もちろん得点はFWだけが取るものではないため、FWだけにフォーカスして「得点力不足」を語るわけにはいかないが、とは言うものの、欧州のトップリーグで年間15ゴール以上を確実に決めるクラスのFWが日本にいないのは紛れもない事実である。

 いわゆる「ないものねだり」は時間のムダでしかない。残り8カ月でイブラヒモビッチのようなFWが彗星の如く日本に現れることはあり得ない。ならば、ザックの言う「攻守のバランス」の精度向上に努めながら、現有戦力で成し得るプラスアルファが何であるかを具体的に考えるべきだろう。