なでしこジャパン2013年、佐々木監督の総合評価は? (2ページ目)
じっくりと新戦力を見極めるとばかり思っていたが、6月のヨーロッパ遠征、7月の東アジアカップで、佐々木監督は早々とベテラン勢を呼び戻した。ここからのチーム作りは"世代交代"が最大のテーマだと睨んでいたが、ベストメンバーとされる構成はロンドンオリンピック、ドイツワールドカップを戦ったメンバーが名を連ねていた。
「経験のある選手たちが劣ってきているとは思っていない。いくら世代交代が必要だとしても、なでしこジャパンのレベルに達していない選手は使えない」
ベテラン起用に疑問を投げかけたメディアに対しての佐々木監督の答えだ。では、北京後とは異なる強化策を取ろうとしているのだろうか。
「やり方を決めつけている訳ではないんだよね。ここからの3、4年を考えて経験のある選手がもう無理だってことはない。でもその選手たちの精神的な問題もある。『次のオリンピックまで私は挑戦するだろうか』っていうね。サッカーは辞めなくても、代表として戦うには覚悟もいるわけだから。そういう精神的な要素を試す一年だった」
早々とベテランを戻したのは根本的なところの確認作業という訳だ。さらに成長度の高い選手と組ませることで新戦力の引き上げとレベル確認も進めた。そこで浮き彫りとなったのは、若手がまだ国際レベルに達していないということ。多少なら、2、3年の時間があれば引き上げることも可能だが、どうやら佐々木監督の目を引く選手は思ったより少なかったようだ。
6月のヨーロッパ遠征以降は、計算できる選手が揃ったことで、新たな戦術も取り入れた。縦への攻撃である。ただ、これには選手たちと指揮官の間でまだイメージのズレはあるようで、必ずしも順調な滑り出しとまでは行っていない。縦への攻撃を仕掛けたところでかわされ、カウンターからピンチを招く場面が何度もあった。だが、佐々木監督にとっては、これも想定内のこと。
「カウンターでやられているときっていうのは、状態が悪いときにパスを出してミスをしてる。だから今はこういう球出し、球受けはダメなんだっていうことを感じ取っているところ」
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