2013.10.19

ドーハの夜。オフトが綴った「二文字」が
日本の未来を開いた

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • FAR EAST PRESS/AFLO

 当然、危険な目に遭うことも珍しくない。物陰に隠れて巡回する警備員をやり過ごしたつもりが、突然Uターン。あえなく見つかり、機関銃を突きつけられたこともあった。

「正直、撃たれると思いましたけど、『●●●のジャーナリストだ』とか言って、他国の人間のふりをしたりして、どうにか許してもらった。結局、警備員はカタールの人間ですから、予選に絡んでいるわけではないので多少の甘さがあったんでしょうね。でも、その姿を日本のテレビ局のクルーに撮られていて、日本で放送されたみたいなんですよ。それを見ていた人から『いったいどんな仕事をしているのか』と心配して、日本から連絡がありました(笑)」

 しかも、オフトの要求する情報は細部に渡っており、事細かに「これとこれを見てこい」と指示が出る。当然、「(練習や試合を)見られませんでした」では済まされない。

「ある程度情報がそろっていても、オフトには毎日『行け』と言われた。昨日練習していなかった選手が今日はいるかもしれないし、急に戦術が変わっていたり、FWだった選手がDFをやっていたりするかもしれない。そうしたチームの日々の変化が大事な情報だったんです。そのうえで、スカウティングの項目がたくさんあるんですが、その辺は(1992年の)アジアカップの頃から叩き込まれてきましたからね、黙々とこなしていました」