吉田麻也「自分も、チームも、やっと一歩前に踏み出せた」 (2ページ目)
練習では、相手がボールを持って前を向いたとき、ラインを下げる。後ろを向いたら、ラインを上げる。そんな基本的かつ単純な動作の繰り返しから、そこに前線からの守備を連動させて、全体の守備の動きを確認したという。それは、最終ラインの新戦力として期待される森重真人に、チームのやり方をより理解させる意図もあったが、チーム内の守備への意識を高めることが最大の目的だった。
そして、グアテマラ戦に臨んだチームは3-0と完封勝利を飾った。最終ラインの吉田も安定したプレイぶりを見せ、代表では初めてコンビを組んだ森重との連係も申し分なかった。
「(森重とは)試合前からたくさん話をして、頻繁にコミュニケーションを取りながらやろう、と言っていた。だから、ピンチのときも問題なく対応できましたし、(森重は)能力の高い選手なので、一緒にコンビを組んでやるのも難しくなかったです。まあ、どんな相手にせよ、(失点を)ゼロに抑えたというのは良かった。ここ最近、(チームは)連敗して失点も多かったので、(チームと自分の)自信を取り戻す意味でも、しっかりと守備を確認する意味でも、いい結果だったと思います。これでひとつ、(前に)踏み出せかな」
そう言って吉田は、淡々と試合を振り返った。
グアテマラは明らかに格下だったが、今回はそれが幸いした。日本代表は合宿などでよく、組織的なことやチーム戦術を浸透させるために、大学のチームを相手に練習試合を消化することがある。グアテマラ戦は、まさにそれと同じ効果があったと言える。
「もちろん、(グアテマラに)勝ったからこれですべてよしとは思っていないし、ホッとしたりすることもないです。この相手なら、この程度はできる。守備の自信を本当に回復するためには、次のガーナ戦が大事になってくる。ラインコントロールにしても、ガーナ相手にどれだけやれるかが重要。この合宿のまとめの試合でもあると思うので、いい結果を出せればいいと思いますし、(浮上への)いいきっかけにしたい」
ガーナは、主力選手の何人かが来日しなかったが、アフリカ勢特有の身体能力の高さと、鋭いカウンターを持つチームで、前への推進力も非常に強い。そういう相手の攻撃に対して、きちんとラインコントロールしながら対処できれば、今後の見通しは明るくなる。
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