中村憲剛が語るvsブラジル「昨年できていたことが今回はできなかった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●構成 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そして、ブラジルとの差を最も感じたのは、プレイのメリハリだ。ゆったりプレイするときと、素早くプレイするときの、緩急の差があって、その使い分けがすごく洗練されていた。特に、ここぞというときの"出力"、パワーの出し方が圧巻だった。

 それは、攻守の切り替えでも見られた。ブラジルはボールを失うと、すぐに激しくチャージしてくるし、日本がチャンスのときには目いっぱい体を張ってきた。まさに、要所、要所をしっかりと締めながら戦っていた。昨年、欧州遠征で対戦したときよりも、明らかに強かったと思う。

 ベンチで試合を見ながら「自分が出たら......」というイメージは、頭の中で描いていた。まず、ボールを失わないこと。そして、ボールを受けにしっかり顔を出すことを、心掛けようと思っていた。さらに後半、相手が少しスローダウンして、日本がボールを(前に)運べるシーンができていたので、あの時間を長くしたいと思っていたんだけど......。

 試合は結局、ブラジルが終了間際にカウンターで3点目を入れて終わった。ブラジルにとっては、もう完璧な試合運びで、最善の試合内容だったと思う。

 日本にとっては、厳しい内容と結果だった。プレイした選手は、個人の力の差、チームの力の差をすごく感じたと思う。でも、その悔しさは必ず次につながる。自分もできれば、その差をピッチで体感したかった。

 次はイタリアと対戦する。(精神的には)ブラジル戦の結果は影響するだろうけど、とにかく(気持ちを)切り替えていくしかない。

 イタリアは、リズムも、スタイルも、ブラジルとはまったく異なるチーム。対応するのは、かなり難しいと思う。それに、強いチームというのは、自分たちのスタイルに相手を引き込むのが、とてもうまい。ブラジルもそうだったけど、イタリア戦では、そうならないにようしなければならない。

 それには、当然のことだけれども、先に失点しないこと。それが、大前提になる。

 また、ブラジル戦では、昨年の欧州遠征で対戦したときのような、前から積極的に行く勢いがなかった。その点を反省して、イタリア戦では怯(ひる)まずに、前から勝負していきたい。それができれば、決して勝てない相手ではないと思う。

 自分も次は、なんとか出場のチャンスをつかんでチームの勝利に貢献したいと思っている。まだ、すべてが終わったわけじゃないからね。

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