田中陽子ら「ヤングなでしこ世代」は成長しているのか?

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 なでしこリーグが開幕して約1カ月半が経過し、まもなく全10チームの対戦が一巡する。第7節の注目カードは浦和レッズレディースと、現在6連勝中のINAC神戸レオネッサの一戦。ホームの浦和は猶本光、柴田華絵らヤングなでしこ世代が中心のチームであり、澤穂希、川澄奈穂美ら、なでしこジャパンのメンバーが在籍するINACは、今季リーグ3連覇を狙っている。

 INACは攻撃の軸だった大野忍がリヨン(フランス)へ移籍し、ストライカー・京川舞の再離脱もあったが首位を快走。バイタルエリアで緩急をもたらしていた大野がいなくなった今季は、速いテンポのシンプルな攻撃スタイルで勝利を重ねている。

なでしこリーグ第7節、浦和対INAC神戸で先発した田中陽子(写真右)。なでしこリーグ第7節、浦和対INAC神戸で先発した田中陽子(写真右)。 対する浦和は、山郷のぞみ、矢野喬子、柳田美幸らこれまでチームを牽引してきたベテランが引退や移籍で抜け、若手中心にシフトチェンジ。しかし、開幕戦でスペランツァFC大阪高槻に勝利したものの、その後5連敗と苦しい状況が続いている。自信を失いかけている浦和にとって、首位INACとの対戦は、結果も内容も求められる試合だった。

 ゴールデンウィークの5月4日、浦和駒場スタジアムに集まった6800人を超える観客の前で、浦和の集中力は高かった。細かなラインコントロール、中盤と前線は互いにポジションを考慮しながらのプレス、最後の一歩まで足を投げ出しパスコースを狭める。INACに主導権を握られることを覚悟していた浦和は、粘り強い守備を続け、前半を0-0で終えた。

 試合の流れを大きく変えたのは、60分に出された一枚のレッドカードだった。INACのMF田中陽子がドリブルで切り込んできたゴール前で、身体を張った浦和のMF岸川奈津希のプレイがファウルの判定。浦和はPKを献上してしまい、さらに岸川は退場処分となった。

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