【日本代表】アジア王者らしからぬ戦い。ヨルダン戦の敗因はどこに? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ところが、前半ロスタイムにコーナーキックから失点。まったく焦る必要のない失点だったが、これが予想以上に日本に重くのしかかった。

 後半に入っても日本は相変わらずボールを支配し続けたが、なかなか点が取れない焦りからか選手もボールも中央に集まるようになると、得点できないばかりか、相手にカウンターを許すような悪い形でボールを失う機会が多くなった。

 果たして、カウンターからヨルダンに2点目を許した日本。結果的に、これが決勝点となって万事休したわけである。

 また、選手起用にも疑問が残った。

 先のカナダ戦では、トップ下に中村憲剛、左MFに香川という組み合わせで最も攻撃が機能したにもかかわらず、この日の先発は、トップ下に香川、そして左MFにはカナダ戦を欠場した清武弘嗣。結局、最新のカナダ戦後半の状態よりも、従来の序列が優先されていた。

 だが、香川は得点こそしたものの、それ以外は下がってボールを受けることが多く、自分の特徴を発揮できなかった。そのうえミスも多く、バイタルエリアに入ってからの思い切りに欠けたプレイは、むしろ相手にカウンターを許すきっかけにさえなっていた。

 しかも、64分にハーフナー・マイクを投入したにもかかわらず、サイドからのクロスよりも足元への縦パスが増えるなど、選手交代も有効に行なわれたとは言い難い。先発、途中交代を問わず、選手起用にチグハグな印象は否めなかった。

 結局、遠藤保仁のPK失敗もあって、あと1点に手が届かないまま試合終了。日本は1-2でヨルダンに敗れたわけである。

 勝てばワールドカップブラジル大会出場が決まる一戦ということが、選手たちのプレッシャーになったとは思えないが、結果として、本来の力量差をスコアに反映させることはできなかった。この日見せたのは、アジア王者らしからぬ、あまりに稚拙な戦いぶりだった。

 それでも、ザッケローニ監督は強気な姿勢を貫き通す。

「チームのコンセプトや狙いとしてやろうとしたことは出してくれた。中央からもサイドのスペースからもチャンスを作れたし、ピッチコンディションが悪くても、コンビネーションは出せていた」

 グループ首位の日本と2位以下の勝ち点差は相変わらず大きく、この1敗でワールドカップ出場が遠のいたわけではない。正式決定が少しばかり先延ばしになっただけだ。だからこそ、ザッケローニ監督も強気でいられるのだろう。

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