【日本代表】ボランチ・高橋秀人。「4番目の男」では納得できない (2ページ目)
「僕は、ヤットさんのように冷静にボールをさばいたり、ゲームをコントロールしたりはできないし、長谷部さんのようにリーダーシップを発揮して、得点に絡むような前にいくプレイもできない。(自分の)タイプとしては、萌さんに近いと思います。持ち味は......、攻守のバランス感覚というか、淀みなくチームのバランスを整えること。バイタルエリアで相手に仕事させないこと、そして高さでは負けないことですね。
今は守備固めに近い形で、試合の終盤に数分間だけ出ることが多いのですが、その役割をまっとうしつつ、その中で存在感を示していきたい。なおかつ、出場時間を増やしていくために、(ボランチの)3人の選手からいろいろなことを吸収して、自分の足りないところをもっと伸ばしていかなければいけない。ザッケローニ監督にも、体の向きとか、ボールを運ぶ方向とか、厳しく言われているので、それらをしっかりこなしていって、その先に(自らの)ポジションというものが見えてくると思うんです」
代表ではなかなか出場機会を得られていない高橋。 より"個"を磨く――。選手であれば誰しもが考えることを、高橋も代表に呼ばれてからは積極的に取り組んできた。しかし昨年は、自らの課題にどう取り組むべきか、苦労していたという。
「代表から(クラブに)戻ってきたときに『レベルアップしないといけない』という気持ちが強くなって、頭でっかちになってしまったんです。例えば、ヤットさんのようなトラップやパスを身につけたくて、それを練習でトライするのはいいと思うんですけれど、(身についていないことを)試合でもやろうとしてしまった。そのためか、代表からJリーグに戻ってくるとパフォーマンスが下がることがあって、サポーターからも『勘違いすんなよ!』と言われたりしたんです。それからは、Jリーグの試合ではあまり考え過ぎないようにして、今はボールコントロールをしっかりやろうとか、ひとつひとつ整理してプレイすることができるようになりました」
高橋は感覚よりも、理詰めで勝負するタイプのようだ。大学の卒業論文のテーマは、「2009年のFC東京の全失点分析」だった。サッカー選手の場合、自分のポジションや肉体について考察し、検証テーマにすることが多い中で、個人ではなくチームの分析をテーマにした。そこに、高橋という選手の面白さが垣間見える。また、「ホワイトボードを使って、サッカーの話をするのがすごく好き。自分は指導者向き」と言うように、従来のプロ選手とは異なる思考を持っている。
「僕は、国体のメンバーにもなっていないし、各世代別の代表にも入ったことがない。(FC東京に)入団当初は誰も、僕が代表に入るなんて考えもしなかったと思うんです。でも、そういう選手でもやれるというか、『こんちくしょう』と思って、人が考えてもいない道を進んでいくのが、僕は好きなんです。だから、同じような境遇(大卒)で日本代表になって、各クラブの中心プレイヤーとして活躍する、(中村)憲剛さんや羽生(直剛)さん、岩政(大樹)さんなどは、すごく尊敬しています。自分の考えを的確な言葉で伝えることができるし、若手に対して適切なアドバイスもできる。そこは、僕がこだわっている部分でもあります」
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