【なでしこ】高校サッカーベスト4決定。
優勝候補・常磐木学園の強さの秘密に迫る (3ページ目)
普段から上下関係を作らないコミュニケーションが、ピッチ内での阿吽の呼吸を可能にしているのだ。何より重要なのは、選手自身がその意図を理解し、サッカーに生かせているということだろう。
「弱い立場である後輩が生意気なことを言っても、我慢できるのが強い人。たとえば英語に敬語はないし、仲間同士に敬語は必要なのか。下の子がいいことを言うことだっていっぱいあるし、私だって生徒から勉強するんです。『自分は先輩なんだ』なんて威張るよりも『ああ、いいこと言っているな』という、そういうポイントをお互いに探り出すということの方がよっぽどいい。普段からやっていれば、それが試合にも出るんです」(阿部監督)
上下関係がない代わりに、ピッチの中に激しい競争が存在するのも事実だ。田中明日菜や熊谷紗希の技術や判断力の土台は、この環境で築かれたのだろう。そう考えると、大きな伸びしろを持つこの年代にどんな環境下でサッカーをするかが選手達の将来を決めるということをあらためて実感する。
U-17の代表候補にも選ばれている佐々木に目標を聞くと、間を置かずにこんな答えが返ってきた。
「なでしこジャパンで中心選手になりたいです」
目標は高ければ高いほど良い。阿部監督もこう語る。
「選手達にはいずれワールドカップとか、そういう大きな舞台でプレイしてほしいですからね。選手達自身がみんなそう思っているんじゃないですか」
1995年の創部直後、部員が5人だった頃から、「そんなんじゃ日本一になれないぞ!」と、高い理想を掲げていた指揮官の考えは、選手に伝わっている。
その常盤木学園にとって最大のライバルであり、もうひとつの優勝候補と目されるのが日ノ本学園高校(兵庫)だ。準々決勝ではシュート本数34対0と圧倒的な内容で幕張総合(千葉)を6-0で下し、16日の準決勝に駒を進めた。
日ノ本学園は全日本高校女子選手権には2001年から11年連続で出場を果たし、10年に初優勝を飾った。昨年8月に行なわれたインターハイ決勝では、常盤木学園を1−0で破り初代女王に輝いている。
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