【なでしこ】次世代のストライカー・京川舞が歩む「世界のトップ」への道 (2ページ目)
「2010年のU-17ワールドカップに出場したとき、かなり緊張していたんですが、その時スカウティングを担当していたコーチからもらったアドバイスが、自分を変えるきっかけになりました。『プレッシャーを感じずに、もっと楽しんで、押されている時でもポジティブに、チャンスが来ると考えてポジションをとる余裕を持てるように』。そのアドバイスを聞いてからは、自分で気持ちをコントロールできるようになりました」
それでも、INAC入団当初は遠慮や緊張もあり、新しい環境に戸惑うこともあったという。
「チームに入っていくのがまず難しかったし、当たり前のことを当たり前にやっているつもりなのにそれができていなかったり、コミュニケーションをとることの難しさを感じました」
その後は徐々にチームに溶け込み、3月下旬に開幕したなでしこリーグでは、第4節までに5得点。得点ランクトップを走り、順調なスタートを切った。
■ケガ、そしてリハビリ。サッカーができない期間に得たもの
しかし、5月13日のなでしこリーグ第5節、伊賀FCくノ一戦で左内側側副靱帯および内側半月板損傷、さらに前十字靱帯断裂で全治6カ月以上となる大ケガを負う。これで8月のU-20女子W杯出場も断念せざるを得なくなり、そのニュースが女子サッカー関係者やファンに与えた衝撃は大きかった。
本人は当時をこう振り返る。
「これから6カ月もサッカーができないことを考えると、壁にぶつかったり、トレーニングができなくなる不安だったり、どうなっていくんだろう......というショックはありました。気持ちを切り替えられたのは、家族やチームメイト、ファンの方からいろいろな励ましをいただいたからです」
リハビリ中、INACのリーグ戦やU-20女子W杯の日本代表の試合を、テレビやスタンドから観戦し、共に戦ってきた仲間を見守り、喜びを分かち合った。そして、それぞれのチームの勝利がリハビリの支えになった。また、同じケガを大学時代に経験しているチームメイトの川澄奈穂美からのアドバイスも大きな支えになったという。
「川澄さんが(同じケガをしたときに)加圧トレーニングをやっていたと聞いて、川澄さんが持っている加圧トレーニングの道具を借りて続けていました。私がケガをしたシーンは接触ではなくてターンした瞬間だったので、そういう動きを補う筋肉、たとえばおしりまわりの筋力をつけたり、スクワットの時に膝が内側に入らないようなトレーニングをしました。(試合を見て)やっぱり、この選手たちと一緒にプレイするためにも早く治して頑張らなきゃいけないと思いましたし、すごくパワーをもらいました」
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