【日本代表】欧州遠征はチャンス。フランス、ブラジルは怖くない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 トルシエ式3バックがフランス式のサッカーにきわめて相性が悪いことは、チャンピオンズリーグ等々の戦いからすでに明白になっていた。

 その3-4-1-2は概念的には守備的サッカーだ。対するフランス式(4-2-3-1)は、当時の概念で言えば攻撃的サッカーになる。その後、3-4-1-2が廃れ、4-2-3-1は流行することになるが、11年前のフランス対日本は、その理由がぎっしりと凝縮された一戦だった。欧州から守備的サッカーが消えてしまった理由そのものに他ならない。

「強者(フランス)と対戦するときに、弱者(日本)が注意しなければいけないのは、強者に攻撃的サッカーをさせないことだ」とは、当時の欧州の常識だった。後に日本代表監督に就いたイビチャ・オシムも、こちらのインタビューに同じ言葉を吐いている。

 強者の力がピッチ上に必要以上に反映された試合。11年前のフランス戦をひと言でいえばそうなる。フランスの楽勝は、ある意味で試合前から読めていた。だが、今回は布陣のミスマッチによる不利はない。日本の戦い方は当時とは一変。サッカーは十分に攻撃的になっている。初歩的なミスを犯すこともない。

 お互いの戦力が当時と同じだとすれば、0-3ぐらいで収まるだろう。だが、現在の日本は、個人のポテンシャルも上がっている。それがどれほどのものなのか分からないとはいえ、右肩上がりであることは事実だ。0-3より差は詰まっていると考えられる。予想スコアは0-2?

 だがこれは、あくまでも日本側の事情だけを基にした見方だ。相手の事情は含まれていない。フランスが当時より弱くなっていれば、その差はさらに詰まることになる。

 日本はかなり善戦する。競った内容になる。僕がそう睨む理由はそこだ。

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