【五輪代表】44年ぶりメダルへ。関塚ジャパンに「強い風」が吹いている! (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 時間の経過とともに、ジワジワと日本ゴールへ迫ってくるエジプト。40分には自陣で大津祐樹がボールを奪われ、この試合で初めて、左サイドバックの徳永悠平が攻め上がった背後を突かれるピンチを迎えた。ついに日本の守備が破られてしまうのか。そんなことを思わせる、非常に危険なシーンだった。

 だが、このピンチを切り抜けたまさに直後である。永井の先制点と同じような形で、左MFの齋藤学がDFラインの背後に抜け出すと、相手DFのサードが齋藤を倒して退場処分となる。吉田が振り返る。
「奪ったボールを失う回数も多かったし、(エジプトに)退場者が出たことは僕らにとってラッキーだった」

 エジプトにとってみれば、主導権を握りかけていたところでの痛恨のレッドカード。このワンプレイが、たるみかけていた日本の帆を再び大きく膨らませる、最高の追い風となったのである。

 これを境に、日本は落ち着いた。ただ守備に回って耐えるだけでなく、自分たちでパスをつなげる余裕も生まれた。試合の主導権は、自分たちの懐(ふところ)に完全にしまい込んだ。

 そして78分には、今大会初の追加点。「追加点が取れないのがこのチームの課題だから、もう1点取ろうと、ハーフタイムに話していた」と話す吉田が、自らFKに合わせて決めたヘディングシュートだった。

 しかも、日本への追い風はこれだけにとどまらない。

 2-0になったといっても、1点でも返されてしまえば、たちまち試合の流れなど変わってしまうのがサッカーというもの。また、待ち焦がれた2点目が入ったことで、日本に油断が生まれる危険性もあったが、日本の追加点からわずか2分後、エジプトのDFヘガジが左足を痛めて、プレイ続行不可能に。すでに交代枠を使い切っていたエジプトは退場者に加えて、さらにひとり少なくなり、事実上、ここで勝負は決した。

 日本選手は残る10分あまりを、スタンドからの「ジャパン、ジャパン」の大合唱に包まれて気持ちよくプレイし、そして3点目まで決めてしまった。

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