【日本代表】機略に富む指揮官が
アイスランド戦で新たにチームに与えたもの (2ページ目)
実際、約2年ぶりの代表戦出場となった石川も、「(サイドの)スペシャリストとしての価値に、注目してもらえているのではないか」と話す。
「僕のプレイと、チームで求められていることが一致していた。それは参加してみてわかったことです」
そのうえで石川は、昨年J2でしかプレイしていない30歳の自分が呼ばれたことについて、「多くの選手が刺激を受けるだろうし、誰もがそういう(代表入りの可能性があるという)意識を持つだろうし、全体のレベルアップにつながる」とも話す。
刺激になったという点では、アイスランド戦で出場機会がなかった若い選手にとっても、同様だ。
柴崎は「合宿に参加できたことは、確実に次につながる」と言えば、磯村は「正直、メチャメチャ緊張したけど、ここで経験したことを名古屋に戻って生かしたい」と意気込む。彼らが所属クラブに戻り、この経験をきっかけに大きく成長してくれるなら、それだけでも代表メンバーに加えた価値があったというものだ。
一方、ザッケローニ監督が積極的に新戦力を起用する以上、従来のメンバーもうかうかしてはいられない。まだまだ代表で確固たる地位を築いているとは言えない、森脇良太はこう語る。
「これからロンドン世代の選手もたくさん入ってくると思うし、危機感はある。競争が激しいことは重々わかっているけど、まずは呼んでもらえないことには話にならない。だから、毎回呼んでもらえるように広島で頑張りたいです」
こうして多くの選手を招集し、彼らのやる気を刺激しながら、自らの手駒を増やしていく。そこには、ザッケローニ監督の巧みなチームマネージメントがうかがえる。
「少ない(代表招集の)チャンスを生かさなきゃいけないんですけど、今日、それができたかっていうと......。でも、何度もチャンスがあるわけじゃないとは思うけど、まだまだこれからもあってほしいとも思います」
そう話す石川の期待が、裏切られることは恐らくないだろう。それが、Jリーグ全体をレベルアップさせ、日本代表を強くすることにつながると、ザッケローニ監督は十分承知している。
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