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【五輪代表】歴史は繰り返す。
首位の座を明け渡したシリア戦の敗因は何か? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 象徴的だったのは、34分のシーンだ。ボールを持った鈴木大輔が、最終ラインから縦へ大きく蹴り出した瞬間、前線で待っていた大迫と山田直輝が同時に、両手を前へ突き出すジェスチャーで、「足元につなげ!」とアピール。そこに見えたのは、セーフティにプレイしたいDFと、パスをつないで攻めたい前線との温度差だった。 終始かみ合わなかった攻撃を振り返り、山田が言う。

「立ち上がりの10分はそういう(ロングボールを使う)形でやろうと話していたけど、その後は、もっとボールを回さなきゃいけなかったし、ボールを前へ運んで(相手を)押し込んで攻めたかった」

 とはいえ、DFばかりは責められない。

 前線の選手もまた、「攻めているときも守備のことを考えすぎて」(山田)、積極的に動いて次のパスコースを作るということができていなかった。結果、簡単にボールを失ってカウンターを受けてしまったのでは、DFが安全第一のプレイに走ったとしても無理はない。悔しさをかみ殺し、山田はこう続けた。

「パスを回せなかったのは、11人全員に問題があったから。今日は、相手のゲームプランにハマってしまった」

 過去2回(アテネ、北京)の五輪アジア最終予選を振り返ると、不思議なことに、日本は全6戦のうち3戦を終えた時点で首位に立ちながら、第4戦を落として2位に転落するという展開で、今回もまた同じ結果となった。

 いわば、鬼門とも言うべき第4戦で、日本は敗れた。またしても、歴史は繰り返されたというわけだ。

 しかし、言うまでもないことだが、過去2回の五輪予選では残り2戦で巻き返し、本大会への出場権を勝ち取っている。今回のシリア戦が「落としちゃいけない試合だった」(山田)のは確かだが、巻き返すチャンスは残されている。

「まだ向こう(シリア)も(五輪出場が)決まったわけじゃない。一戦一戦、戦い続けることが大事になる」

 そんな関塚隆監督の言葉を引くまでもなく、ここからが本当の勝負。それがウソでないことは、過去の歴史が証明している。

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