【五輪代表】歴史は繰り返す。
首位の座を明け渡したシリア戦の敗因は何か?
シリアに先制され、一旦は永井謙佑のゴールで追いつくも試合終了間際の失点で敗戦した日本
ロンドン五輪アジア最終予選は2月5日に第4戦が行なわれ、日本はシリアに1対2で敗れた。この結果、両チームが3勝1敗の勝ち点9、得失点差+4で並んだが、総得点(日本7、シリア8)の差で、日本はグループCの2位に転落。プレイオフを経ず、自動的にロンドン五輪出場が決まる1位の座を、現時点でシリアに明け渡した。
守備ではボールの奪いどころが定まらず、攻撃ではパスがつながらない。日本はこの試合、90分を通してまったくと言っていいほどリズムをつかむことができなかった。
その最大の要因は、運動量の少なさだ。足が動いていないから、相手ボールのときにはプレッシャーをかけることができず、マイボールのときにはパスコースを作れない。ボールに関わる人数でシリアが常に日本を上回っていたのでは、主導権を握れないのも当然だ。
残念だが、シーズンオフが明けたばかりのこの時期に、激しい国際試合を戦うことの厳しさを露呈する結果となった。フィジカルコンディションという点において、万全の状態になかったことを完全に否定するのは難しい。
ただし、この試合に関して言えば、運動量が低下した原因は、むしろメンタル面によるところが大きい。大迫勇也が「勇気を持って、もっと足元で(パスを)つなげればよかったんですけど......」と話していたように、チーム全体がどこか怖々とプレイしている印象は強かった。
選手たちに恐怖心を抱かせるひとつの原因となっていたのが、ピッチ状態の悪さである。とりわけ、その恐怖にさらされていたのが、DFの選手たちだ。比嘉祐介が語る。
「ボールが(ピッチのデコボコで)跳ねていたので、横パスを使いたくなかった。そのためにパスが回らなくて、簡単に縦へ蹴ってしまっていた。自信なくやっていた感じでした」
しかも、シリアが高い位置からプレッシャーをかけてきたために、さらにパスをつなぐ余裕は奪われた。
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