山本昌が語る32年のプロ野球人生と最強打者たちの記憶「調子のいい清原さんだけは、どうにもならなかった」 (3ページ目)
【苦手な右打者と得意な左打者】
吉田 32年間で対戦した打者のなかで、もっとも印象に残っている選手は誰ですか。
山本 いっぱいいますが、プロに入って衣笠祥雄さんと対戦した時は「鉄人だ」と思いました。4年目に広島カープの3、4番の衣笠さん・山本浩二さんと対戦した時は、もう「うおお」という感じでしたね。オープン戦を含めて振り返ると、けっこうすごい選手と対戦しているんですよ。阪神の掛布雅之さん、ランディ・バースさんとも対戦していますし、そういった時代の方々と勝負できたのは大きな経験でした。
吉田 特に誰がすごかったですか?
山本 すごかった選手で言うと、巨人に行ってからの清原和博さんですね。僕はアウトコースの低めにボールを集めるピッチャーなのですが、清原さんは調子がいいと、そのワンバウンドするような低いボールを、ライト方向へホームランにしてしまう。どうにもならないんです。調子が悪い時は真ん中の直球でも空振りしてくれるのですが、そのギャップが怖かったです。ランナーがたまったところで「清原は調子がいい」というスコアラーのデータが来る、あのシチュエーションが一番嫌でした。
吉田 逆に、得意な打者はいましたか。
山本 私は左打者に強かったんです。巨人の清水隆行さん、阪神の桧山進次郎さん、ヤクルトの稲葉篤紀さん、この3人からはほとんど打たれていません。左打者に対してはアウトローの低め、カーブ、スライダー、インコースのスクリューと、両方向に曲げていける球があったので。
吉田 巨人の松井秀喜さんはいかがでしたか。
山本 彼の最初の2年間は、スタメンと聞いたら内心ガッツポーズでした。アウトコースの見極めが悪くて、ギリギリに投げると全部振らないし、ストライクを取られると「えーっ」という顔をしている。そこに直球かスライダーを投げれば三振が取れる、という感じでした。ところが3年目に、そのボールをライト方向にホームランにされてしまいました。それから「インコースも使わないと」と考えたら、今度はインコースのさばきが抜群だった。裏をかいても打たれる、という状況になりました。松井さんが力をつけていった過程を肌で感じましたね。
吉田 若い頃から「この選手はすごくなる」と感じた打者はいましたか。
山本 中田翔さんですね。オープン戦で代打として出てきて、三球三振で抑えましたが、全部空振りしながらもスイングがすごかった。ベンチに戻ったら立浪さんが駆け寄ってきて、「山本さん、今の中田のスイング見ました? すごかったですね」と。「俺もあんなに速いスイングは初めて見た」と話したのを今でも覚えています。あとはカープの菊池涼介さん。オープン戦でファウルを打たれた瞬間、スイングの鋭さが違って、「誰だこれ」と思わず確認してしまいました。横浜の内川聖一さんも最初から「簡単に打つな、この選手」という印象でしたね。
吉田 特定の球団との相性の良し悪しはありましたか?
山本 横浜だけ通算30勝なんです。ほかのセ・リーグの4球団はすべて40勝以上しているのに。内川さんと村田修一さんがいた時代に大きく勝ち星を落としました。あのふたりのせいで横浜には勝てなかった、と言っても過言ではないと思っています(笑)。
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