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なぜプロ野球は「投高打低」の時代に入ったのか 西武・中村剛也が語る「飛ばないボール」の真相と「投手の進化」 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 2011年6月、中村は左手甲に死球を受けた。左手がほとんど使えないなかで本塁打が出て、右手で押し込む感覚をつかめた。その後にどん詰まりが本塁打になり、心に余裕ができた──。それからボールは関係なくなったともコメントしているが、昨季の「飛ばない」ときはどう感じていたのか。

「なんですかね......打った打球にバックスピンがうまくかからない感覚はありましたね。ただ、NPBは別に何も変えていないということを発表しているわけですから、ほんとのところはわからないんですけど。でもちょっとスピンがかかりづらくなって、浮力がかからずに棒球みたいな打球が多いなと。ほかの人の打球を見ていても、少し思いましたね」

 ボールの中心よりやや下を上から叩き、バックスピンをかけることで打球を飛ばす。これは、中村が長年続けてきた打ち方だ。しかし、今シーズンはその打ち方で打っても、これまでとは違う感覚があった。となると、ボールに何らかの変化があった可能性も考えられる。たとえ反発係数が基準値内であっても、縫い目が高ければ空気抵抗を受けやすくなり、打球の失速につながるという。ただ、今年は「ボールが飛ばない」という声は伝わってこない。

「あんまり言わなくなってますね。でも、『ボールが飛ばない』というより、ピッチャーの投げるスピードボールが速くなったり、変化球もいろんな種類があったりして、ほんとにバッターは難しくなっていると思うんです。今年もホームランはそんなに出てないですし」

【速い球が一番打ちづらい】

"投高"に関して、中村は投手のレベルが上がったと感じている。大阪桐蔭から2001年のドラフト2位で西武に入団して4年目の05年、22本塁打を放ってブレイクした。そこから20年間で、投手はどう向上してきたのか。

 2005年は両リーグ合わせて3割打者が24人、30本塁打以上が13人で、防御率1点台の投手はゼロ。今に比べれば"打高投低"だった。では、当時の投球はどうだったのか。

「小さく変化する球が増えてきた頃ですね。外国人ピッチャーのツーシームとかシンカー系の球とか、あとはカットボールとかも出てきました。逆に今は、スイーパー系の大きく曲がるボールがちょっと多くなっているかな。でも、どうですかね......そんなに変わらないと思いますけどね。以前に比べてチェンジアップが増えたっていう感覚もないですし」

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