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なぜプロ野球は「投高打低」の時代に入ったのか 西武・中村剛也が語る「飛ばないボール」の真相と「投手の進化」 (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 中村自身への攻め方の変化もあったと思われるが、そのなかで顕著だったボールはあったのだろうか。ブレイクすれば相手に研究され、克服して本塁打を量産すれば、さらに研究され厳しく攻められることもあったのではないか。

「あんまり気にしないタイプなんで。どういう攻め方をされようと、ピッチャーはストライクゾーンに投げてくるわけですから。その球を『なんとか捉える』っていうふうに考えてやっていましたね」

 この考え方があるからこそ、長く第一線で活躍し、2019年には36歳で打点王に輝けたのだと思い知らされる。では「投手の球が速くなった」という件はどうだろうか。150キロを超すボールを投げる投手が増えたことで、難しくなった面はあるのだろうか。

「やっぱり速い球が一番打ちづらい。ふつうに考えて、ピッチャーが投げて、(捕手のミットに)着くまでの時間が短いので難しい。そこに緩い球が入ったり、速くて変化する球が入ったりとなると、余計に厳しくなりますからね」

【レベルアップする中継ぎ投手】

 打者が難しくなった要因として、特に挙げられるのが先発投手の降板後に登板する中継ぎ投手の存在だ。近年では、相手が負けている展開で出てくる"敗戦処理"的な投手でも球が速く、レベルは低くない。そのため、打者にとってチャンスが少なくなっているのが現状だ。

「そのとおりです。前はそうじゃなかったですから......。先発ピッチャー、勝ちゲームで登板するセットアッパーやクローザーは、今と比べてもそこまで遜色なかったと思うんですけど、そのほかで投げてくるピッチャーは全然違うと思います。

 ふつう負けた展開で投げる投手というのは、単純に力は落ちると思うんです。球速はもちろんですが、コントロールが少し甘くなったり、勝ちゲームのピッチャーよりも打てるチャンスはあると思うんですよ。でも、そういう投手は多くないですし、140キロそこそこのピッチャーはもういないので」

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