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高木豊「DeNAは試合ごとのプランが見えない」 ビシエドの補強、コーチ陣の配置転換にも疑問符 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【DeNAの試合プランに不安】

――データに頼りすぎてはいけないということですね。

高木 データ通りの球がきたら、ある程度の確率で芯には当てていくでしょうが、データが当たったからといってすべてがヒットになるわけではありません。芯に当てても、ボールが人のいない場所へ飛ぶわけじゃないですから。今はプロ野球界全体があまり練習をさせなくなっていますよね。「なぜ3割打者が少なくなったのか」とか言われるけれど、技術の習得を含めて練習が足りないんです。

 それと、野球の傾向ってあるじゃないですか。今季であれば、とにかくロースコアの接戦が多い。その証拠に、両リーグともに防御率1点台や2点台前半のピッチャーが多いですよね。そういった展開では、バントでしっかりランナーを進めたり、足が使えるチームが試合を制していくのですが、DeNAはそういう傾向には合わせないんですよね。今のピッチャーからヒットでつないで点を取るってかなり難しいですよ。

――特に今年は、バッター陣の苦戦が目立ちます。

高木 そうですね。それと、DeNAは試合ごとのプランが見えないんです。例えば「このピッチャーからは点を取れていないので、前半はバントで1点ずつ取っていく」「接戦になれば足を使う」とか、プランが明確であれば選手も動きやすくなります。中長期視点でのプランもそうです。梶原が1番を打ち、森がショートをシーズン通して守りきってくれるんじゃないか、オースティンが軸になってやってくれるんじゃないか、(トレバー・)バウアーが無双状態で投げてくれるんじゃないか、といった思惑が完全に崩れていますよね。

 補強策に動いているのも、そのあたりの焦りがあるんだろうなと。それと、先ほどもお話した首脳陣の一新。日本一という結果を出したのに、よりよいものを求めすぎて、逆の結果になってしまったのかなと。クライマックスシリーズを勝ち進み、日本シリーズを制するくらいのチームとしてのまとまりを見せたわけだから、変えないほうがやりやすかったんじゃないかと僕は考えますけどね。

――接戦を制するための選手起用と戦術も求められる?

高木 打撃が強みのチームなので打たせたいのはわかりますが、試合ごとのプランの遂行や勝負勘といったものが大事になってくるかなと。今後の戦いぶりに注目していきたいと思います。

【プロフィール】

高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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