高木豊「DeNAは試合ごとのプランが見えない」 ビシエドの補強、コーチ陣の配置転換にも疑問符 (2ページ目)
――今年は何としてもリーグ優勝を勝ち取る、という意気込みが積極的な補強策に表れているのでしょうか。
高木 昨季はリーグ3位からの"下剋上日本一"でしたから、リーグ優勝にかける思いは強いでしょうね。日本一になる過程では相当なパワーが必要だったはずですが、そのパワーを注入していたのは首脳陣だったと思うんですよ。ただ、シーズンオフにその首脳陣を"大改革"というくらい動かしたじゃないですか。なぜ日本一を勝ち取ったのに変えなければいけなかったのか。石井琢朗や鈴木尚典らをファームに置いたり、よかれと思ってやっているのでしょうが、「これで大丈夫なのかな」と思っていたんです。
コーチが変わると、現場の雰囲気も変わるんです。昨季は梶原や森など、あれだけ若手が成長してチームを引っ張った。それを支えていたコーチの顔ぶれがだいぶ変わりましたからね......なぜそうしちゃったのかなと。選手は戸惑ったんじゃないかと思うんです。
【データを活かすか否かは現場の判断】
――あえて変えた意図もある?
高木 いい時に変えるのはギャンブルなんです。もちろん現場では「よりよいものを引き出すために」といった意図があったのでしょうが、やっぱり難しいですよ。なぜなら、問題があったわけではないですから。コーチ陣を一新したことで選手の不安はなかったのか。コーチと選手という関係ですが、日本一をともに成し遂げた仲間でもあるわけで、特別なものがあると思うんです。結束力も強くなったはずですが、それを解体する形になったじゃないですか。
戦術面にも疑問があります。(7月12日の)巨人戦で、相手の先発は今季点が取れていないフォスター・グリフィンでした。1回に1点を先制され、なお無死一、三塁で坂本勇人を迎えた場面。そこで「右打ちをしてくる」というのは野球をやっていればわかるはずなんです。それに対して内野に前進守備をさせず、後ろに守らせていたんです。相手がグリフィンということを考えれば、「もう1点やってもいい」という守備体形ではダメ。初回とはいえ、「もう1点取られたら試合が終わってしまう」くらいの危機感でやらなきゃいけない場面でした。
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