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「おまえは受けなくてもいい」から始まった戸柱恭孝の捕手人生 「これだけ練習をやった」が自信につながった (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── バッティングは、プロ2年目の2017年に打率.214(336打数72安打)ながら、52打点を挙げました。昨年のクライマックス・シリーズでも、勝負強さが印象的でした。ベイスターズは宮崎敏郎選手、タイラー・オースティン選手、佐野恵太選手、牧秀悟選手、筒香嘉智選手といったタイトルホルダーが並ぶ強力打線です。

戸柱 球界を代表する好打者が、僕の前を打っているわけです。だから最低限、打球を前に飛ばせばさえすれば、点が入るのではないかと......それが好結果につながっているのかもしれませんね。先述した"キャッチング"ではないですが、「自分はこれだけ練習してきた」という絶対的なメンタルの部分での余裕をつくるようにしています。そして捕手の5要素については、いずれも毎年出てきた課題に対して、担当コーチとともに試行錯誤して解消していくのがプロだと思うので、入団してからそのように取り組んできました。

【捕手複数制への本音】

── 現在、プロ野球は「捕手複数制」のチームが増えています。そのことについて、どう考えられていますか。

戸柱 昨今のプロ野球界において、捕手を固定しないチームが増える傾向にあります。とはいえ、やはりポジションは1つですし、「試合にずっと出る」という気持ちは当たり前のように持っています。山本(祐大)は昨年ベストナインとゴールデングラブ賞を獲得して、球界を代表する捕手になりつつあります。また松尾(汐恩)は、ポテンシャルと伸びしろがほんとにすごいなと思います。彼らに負けないように「いい刺激をもらって頑張る」という、いい関係性ができています。

── 松尾選手とは一緒に自主トレをしたそうですが、ひと昔前はライバルである同じポジションの選手とやるなんて考えられませんでした。

戸柱 プロ入りした頃は、孤独でしたし、ほんとにしんどい思いをしました。ライバルとしてバチバチやるのもひとつの考え方である一方、すばらしい能力のある若い選手と一緒にやっていくのもいいのかなと......。みんなでともに戦って、頑張って、昨年は日本一の美酒を味わえましたからね。チームとして勝ちたいですし、優勝したいです。

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