「おまえは受けなくてもいい」から始まった戸柱恭孝の捕手人生 「これだけ練習をやった」が自信につながった (2ページ目)
【リードと配球は違う】
── 捕手の要素には、リード、キャッチング、ブロッキング、スローイング、バッティングの5つがあります。一番自信があるのは?
戸柱 その5分野に関しては、すべて必要最低限のレベルには達していると思いますが、あえて挙げるならキャッチングですかね。
── 戸柱さんの入団前の2015年、ベイスターズ投手陣の暴投数は68個ありました。それが、戸柱さんが入団した2016年は39個に激減しました。
戸柱 社会人時代に何千球とピッチャーの球を受けてきましたから。プロ入り後も"キャッチング"は大事にしている部分です。
── ミットをはめる左手の人差し指の向きは、昭和の梨田昌孝さんの頃は自分から見て12時だったのが、平成の古田敦也さんの頃は2時になり、現在メジャーの主流は4時です。
戸柱 人差し指の向きは、僕の社会人時代からだんだん下がってきて、メジャーの情報も入ってきました。自分はどの向きでも練習したので捕球できます。これは感覚の話になりますが、左手小指を支点にするというか、小指の外側で投球を捕まえにいくイメージです。それを意識して捕球しています。
── 昨年のポストシーズンで、特に光った"リード"についてはいかがでしょうか。
戸柱 リードと配球は違うと考えています。言ってみれば、オーソドックスな教科書どおりの"表"のリードと、"裏"の配球でしょうか。捕手にはそれぞれ感性とカラーがありますし、配球に正解はありません。ただ「勝つこと」、そして「日本一になることが究極の正解」だと思います。
── スローイングについて、たとえば盗塁阻止率は2016年に.200(盗塁60企図/12刺殺)だったのが、2020年は.352(盗塁71企図/25刺殺)に上がりました。どんな工夫を施したのでしょうか。
戸柱 現在は、走者のスライディングレベルが向上しています。投球を捕球してから二塁に早く投げるのはもちろんですが、二塁ベース手前、走者が滑り込む低いところに「タッチボール」を、いかにコントロールよく二塁手、遊撃手に投げるかですね。
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