「プロ野球代理人」大友良浩は、社会人野球でプレーしたあと3年で司法試験に合格した (2ページ目)
プロ野球選手の代理人として交渉に当たる際に議題となるのは、お金のことだけではない。
「金額について交渉することもありますが、選手の要望や言いたいことを伝える役割もあります。選手には、自分が口に出すことでカドが立つんじゃないかという心配もあったでしょう。所属球団といい関係を保ちたいという気持ちは当然あるので」
【交渉決裂で年俸調停に】
大友が初めてプロ野球の球団と交渉に当たったのは2009年、西武ライオンズのエース・涌井秀章(現・中日ドラゴンズ)の代理人としてだった。
「涌井投手が当時所属していたスポーツエージェントからの依頼で、1年目にいろいろな交渉をしました。翌年は最初は関わっていなかったんですけど、球団との交渉が難航したところから依頼を受けて、交渉の席に加わることになりました」
その時のことをこう振り返る。
「私が交渉の席に着いた時、球団は『上げないというスタンスを絶対に変えない』と決めていたんでしょうね。こちらが数字を示しながら説明しても、まったく聞いてくれない雰囲気でした」
涌井と相談のうえ、年俸調停を申請することになった。
「5つほど前例があったのですが、選手側にとっていい結果は出ていませんでした。球団の提示額より上がったのは2例だけで、最高でも150万円でした。年俸調停することで選手としてのイメージが悪くなる可能性もあります。しかし、彼が『納得した形で新しいシーズンに臨みたい』と言うことで、調停を申請することを決めました」
当時の記事を引用してみる。
<調停委員会(熊崎勝彦委員長=コミッショナー顧問)は28日、西武との契約交渉が難航していた涌井秀章投手(24)の今季年俸を2億5300万円とすると発表。東京・内幸町の日本野球機構(NPB)事務局で球団、涌井側の双方へ調停額を通達した。昨季年俸から3300万円増は、球団提示額と涌井の希望額の差の66%。調停委はエースとして年間通じての評価を求める涌井の主張を支持した。
調停で明らかになった昨季年俸は2億2000万円。球団の現状維持に対し、申請書で3億円を求めた涌井は21日のヒアリングで2億7000万円に下げた。両者の差額は5000万円。調停委が妥当とした3300万円増(15%増)は両者の差額の66%に当たる。つまり66対34で涌井の主張が認められたわけだ>
(2011年1月29日付 スポーツニッポン)
2 / 4