【プレミア12】井端ジャパンのエース候補・才木浩人が「脱力スキル」で挑む球界ナンバーワン投手への道 (3ページ目)
要は、大きな力をどう生み出すかということだ。極論すれば、「コモドドラゴン」などで知られるJARTAのトレーニングは、「脱力スキル」を高めるために行なわれる(※脱力スキルの詳細を知りたい人は、中野トレーナーの著書『最強の身体能力 プロが実践する脱力スキルの鍛え方』を参照)。
「力を伝えないといけないのに力を抜くという、矛盾することをやります。力を抜いた結果、力が出る。そこが真髄と言うか。格闘技の世界では、『力を盲信しているヤツのやってくることは単純だ』とよく言われます。だから、崩しやすい。ピッチャーに置き換えると、どういう球が来るのかわかりやすい。力んで投げると、バッターはタイミングを予測しやすいという問題が出ます。投手と打者は"崩し合い"ですからね」
投手が力を抜く重要性は、自分自身、そして対バッターにも関わるのだ。
中野トレーナーによると、脱力がうまい人には共通点がある。それは「もも裏、みぞおち、脇」をうまく使っていることだ。才木はみぞおちに加え、股関節に課題があるという。
「股関節は硬いところと柔らかいところが混在していて、アンバランスな感じでした。ベースの柔軟性は大幅に改善してきましたが、まだまだ。『数年かけて上げていこう』という話をしているくらい、あのデカい体をまだ使いこなせていません。みぞおちも腹圧と関係しているので、それも影響しています。内の脇はけっこううまく使えるようになって、上半身のなかで力を伝えられるようになっているけど、股関節とみぞおちに関してはまだ波が大きいです」
以上が、冒頭の「結果だけ先に出すぎている」という解釈につながるわけだ。中野トレーナーによると、才木は今季「自分のストレートにずっと文句を言っていた」という。
それでも球界屈指の強い球を投げて、最高峰の成績を残したところに高いポテンシャルを見てとれる。
【目標は球界ナンバーワン投手】
一方、出力の高さがトミー・ジョン手術という結果につながった。長身や長い手足を上半身中心にうまく扱って投げているが、右ヒジへの負荷がそれほどかかっているのだ。
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