【プレミア12】井端ジャパンのエース候補・才木浩人が「脱力スキル」で挑む球界ナンバーワン投手への道 (4ページ目)
才木は自分の武器、それを扱う難しさを同時に感じている。
「たぶん僕、手足が長いなかではけっこう器用なほうなので、ある程度コントロールできていると思います。でも扱いづらさというか、投げているなかで動きの効率の悪さみたいなものは感じたりしますね」
たとえるなら、短い竿より長い竿のほうが扱いにくい。慣性モーメントが大きくなるからだ。投手はリリースポイントを1cm単位で合わせるなか、そのズレを体幹の中心部で直すには極めて細かい調整が必要になる。おそらくミリ単位の話だ。
これが才木の言う長い手足の「扱いづらさ」である。
だからこそ、才木は身体操作を向上させる必要性にたどりついたのだろう。脱力スキルを身につければ、故障予防とパフォーマンスアップにつながる。『JARTA』の門をたたいたのは、才木のアンテナの鋭さだ。中野トレーナーが代弁する。
「体格に恵まれた人って、やっぱり力とかフィジカルに頼ろうとすると思います。そこで真逆に行ったというか。彼のコメントによると、『ケガの経験が大きかった』と。そう向かって行けるのも彼の才能のひとつだと思います」
宮崎合宿中、才木のスケールを感じるシーンがあった。囲み取材でテレビ局から「3〜10年後の目標」を聞かれると、堂々と語ったのだ。
「もちろん僕は『球界で一番の投手は誰だ?』って言われたら、『才木じゃね?』みたいに言ってもらえるレベルの投手になるのが目標なので。本当に3年後、5年後にはそれぐらいのレベルになれるように頑張りたいと思います」
着実にその道を進むなか、3年後、球界ナンバーワン投手を目指して地道にトレーニングを重ねている。今はまだ発展途上だが、途中経過を示したのが今季の成績とパフォーマンスだ。
初めて侍ジャパンに選ばれたプレミア12で、世界の強豪相手にどんな投球を見せるのか。国際大会で知れる現在地を、楽しみにしたい。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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