【ドラフト2024】注目野手を名物記者が語り尽くす 超目玉の明大・宗山塁は「守備に色気がある」 慶大・清原正吾の指名は? (2ページ目)

【"競合必至"の宗山を回避し、石塚の一本釣りもあるか!?】

加藤 新基準バットの導入は、今年のドラフトになにか影響を与えると思いますか?

菊地 たしかに今年の高校生からは、ホームランをポコポコ打つような強打者はあまり出てきませんでした。でも、裏を返すと今後は"本物"だけが生き残る世界になる。いわゆる"誤魔化しがきかなくなった"ということ。金属バットは芯を外してもパワーがあれば打球は飛びますが、新基準バットはしっかり芯で捉えないとホームランは打てませんから。それもあってか、この夏の地方大会や甲子園では木製バットで試合に出ている選手が目立ちましたね。

加藤 早稲田実業の宇野真仁朗選手も、木製バットを使っていました。彼の鋭い打球は鮮烈な印象が残りましたね。

菊地 パワーだけでなく、しっかりとした技術を持っている選手であれば、金属だろうが木製だろうが打てるということですよ。そのなかで突出しているのは、やはり花咲徳栄高校の石塚裕惺選手かなと。

加藤 侍ジャパンUー18高校日本代表でも、ショートの中心選手としてアジア選手権で頑張ってくれました。

菊地 石塚選手は、4月に奈良で行なわれた日本代表候補選手強化合宿の頃から、ひとりだけ飛び抜けていましたね。その時は全員に木製バットが支給されていたんですけど、彼はすぐに使いこなしていました。花咲徳栄は、とくに野手の育成に長けている高校なので、石塚選手も宗山選手同様に金賞クラスの品質ですよ。

加藤 花咲徳栄の岩井隆監督は、2017年に同校を埼玉県勢で初となる夏の甲子園優勝に導いた名将ですからね。

菊地 岩井監督は「これは!」と見込んだ選手を非常にうまく育て上げるんですよ。いままでも西川愛也選手(西武)や野村佑希選手(日本ハム)、井上朋也選手(ソフトバンク)といった強打者をプロに送り込んでいるわけですが、石塚選手も彼らと比べても遜色ないレベルに達しています。プロに入って打撃がさらに磨かれ、フィジカルも強くなれば、浅村栄斗選手(楽天)のような逆方向にも打球を飛ばせるスラッガーになれるんじゃないかと。

加藤 なんと言っても、右打ちの強打者というのは希少価値が高いですよね。

菊地 そうですね。プロ野球だと右投げ左打ちの選手は飽和状態ですから、右投げ右打ちの強打者で、しかも内野を守れる選手というのは、相対的に価値が爆上がりする傾向にあります。ドラフトで宗山選手が競合になるのだったら、世代No.1の右のスラッガーである石塚選手を1位指名する球団も出てくるかもしれません。

加藤 単独1位指名になってもおかしくないわけですね。僕は同じ強打者として、豊川高校のモイセエフ・ニキータ選手を推したいんですけど。やはり今年のペナントレースを見ても、"投高打低"が顕著になっているので、ガッツリ打てる選手の価値が高まっていると思うんですよ。ニキータ選手の打球は凄まじいですから!

菊地 ハマった時の打球音が全然違う。

加藤 そうなんです! フィジカルの強さも含めて、彼の能力の高さは普通の高校生とは何もかも違うなと。打球を遠くに飛ばす力は天性のものですし、まだまだ計り知れないポテンシャルを秘めている可能性もある。プロに入ってどれだけのスラッガーに成長するのか、我々もうかがい知れないところはありますよ。将来を期待して獲得に乗り出すのであれば、ドラフト1〜3位と上位で呼ばれるのではないかなと。個人的にも推し選手なので注目したいです。

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