広島6年ぶりのペナント奪回はあるか? 佐々岡真司が挙げた後半戦「4人のキーマン」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 最近は矢野雅哉がショートのポジションに固定され、卓越した守備力を披露しています。

佐々岡 亜細亜大学からドラフト6位で入団して、今年で4年目。小柄(171センチ、71キロ)ながら、入団時からフィールディングと肩はすばらしいものがありました。課題だった打撃ですが、今年は"振る力"がついてきたことで急成長しました。カープにとっては"うれしい誤算"と言えるかもしれません。菊池涼介との二遊間は、今や12球団ナンバーワンと言っても過言ではありません。

── その一方で、"打てる捕手"として期待の坂倉将吾選手の調子が上がってきません。

佐々岡 坂倉は「捕手一本でやりたい」ということで、昨年出場した120試合中102試合でスタメンマスクを被りました。捕手というポジションは配球や投手とのコミュニケーションなど、やらなければいけないことがたくさんあります。不調の原因はよくわかりませんが、ただ坂倉のバッティングはあんなものではないですよ。

【6年ぶり優勝のキーマンは?】

── 昨年は阪神に11.5ゲーム差をつけられ2位。とくに9月以降は9勝14敗と失速しました。

佐々岡 昨年は、シーズン終盤に故障者が出てしまいました。今年はその反省を踏まえ、ケガしないことを最優先に、選手たちに休みを与えながら戦っています。あと指揮官となって2年目の新井監督が、何がチームに合うのかを考え、いろいろな作戦を練ってやっています。とくに今年は「投高打低」の傾向が顕著で、広島も完封負けが12試合あるにも関わらず、首位に立っています。少ないチャンスで得た得点を、先発、中継ぎ、抑えと充実の投手陣が守りきる。今年の野球にマッチしているのかもしれないですね。

── 6年ぶりの優勝に向け、今後カギを握る選手は誰でしょうか。

佐々岡 セ・リーグは大混戦です。そんななか、個人的にはチームを活性化させるという意味でも、ドラフト1位の常廣羽也斗に後半戦の救世主になってほしいですね。そして開幕投手を務めた九里に、もっと勝ち星を伸ばして意地を見せてもらいです。

── 打者はいかがですか。西川龍馬選手がFAでオリックスに移籍しましたが、ここまで大きな穴にはなっていません。

佐々岡 先ほど「走る野球」と言いましたが、一方で一発長打を秘めた末包昇大(すえかね・しょうた)の打撃は魅力です。6月26日に左太ももを痛めて登録抹消され、復帰までまだしばらくかかると思いますが、彼の力が必要な時が絶対に来るはずです。そして坂倉にも調子を上げてもらいたいですね。末包が抹消された日にホームランを打ちましたが、全員が一丸となって6年ぶりのペナント奪回を期待したいですね。


佐々岡真司(ささおか・しんじ)/1967年8月26日、島根県出身。浜田商からNTT中国に進み、89年ドラフト1位で広島に指名され入団。プロ1年目から2ケタ勝利と2ケタセーブを挙げるなど活躍。2年目の91年は最多勝、最優秀防御率に輝き、MVP、沢村賞など多くのタイトルを獲得。99年にはノーヒット・ノーランを達成し、03年には史上6人目の通算100勝100セーブを記録した。07年に現役を引退し、15年から広島のコーチ、20年から22年まで監督を務めた。現在は野球解説者、評論家として活動している

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る