楽天・早川隆久が2ケタ勝利にこだわる個人的理由 「早稲田の先輩たちの背中を追いかけていきたい」 (2ページ目)
変化球をストラークゾーンからボールゾーンに投げて様子を見ることなく、初球からどんどんストライクを入れてくる。それはすなわち、相手バッターに的を絞らせずに打ち取れるという、自信の表われでもあるのだ。
早川が「そうっすね」と頷く。
「どの球種でもそういうピッチングができていることで、真っすぐも生きてくるっていうのはあると思っています」
早川は「シーズンの成績とか負けた試合の結果をネガティブにとらえるのではなく、一段階レベルアップできる材料にしていきたい」と、自らの基本理念を説いている。
早川のこの姿勢が、常に視野を広げ、吸収意欲を駆り立てる。
今シーズンのパフォーマンスを語るうえで「欠かせない」と、早川が振り返っていたシーンがある。昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップで侍ジャパンに初選出されたことと、その後に参加したオーストラリアでのウインターリーグでの経験だ。
「みんな、こんなに野球が好きなんだ」
純粋にそう思い、目を丸くする早川がいた。
「ウインターリーグに参加していた選手も侍ジャパンの代表選手も、すごく好奇心が旺盛で。変化球の握りひとつとってもそうですし、腕の出し方のイメージなんかもすごくこだわっているなって。自分も考えながらトレーニングをしてきてつもりだったんですけど、まだまだ熱量が足りてなかったんだなって感じましたね。そういうところに気づけて、実践できていることも大きいとは思います」
【楽天初の左腕投手2ケタへ】
今シーズン、投げるたびにパフォーマンスを上げる早川がいる。
2勝目を挙げた5月3日のロッテ戦から3勝無敗。すべての試合でQSを続けている。とりわけ圧巻だったのが、楽天にとって交流戦初優勝をかけた6月14日の広島戦だ。
キャリア初となる延長10回を投げ、自己最多の11奪三振をマークしながらも球数は117球にまとめ、無失点でマウンドを降りた。チームが敗れたことで試合後の早川は俯き加減だったが、言葉はポジティブだった。
「全体的に球数は少なかったですし、バランスよく投げられました。キャッチャーの太田(光)さんとうまくコミュニケーションを取りながらリードを信じて投げられたこともありますけど、いい感じの内容でした」
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