「野球指導者」と「撮り鉄」の二足のわらじ 盗塁王3回の屋鋪要が語るプロ野球引退後のセカンドキャリア (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 多くの投手と対戦されたと思いますが、ベスト3を挙げるとすれば?

屋鋪 若い時の江川卓さん(巨人)のストレート。ミートしても球が重くて、押し込まれてしまう。あと西本聖さん(巨人)のシュートは、落ちるものと鋭く曲がるものの2種類ありました。大野豊さん(広島)の右打者の内角に食い込んでくるスライダーは、キレがよすぎてボール球でも思わず振ってしまいましたね。

【プロ・アマの指導者として活躍】

── 引退後のセカンドキャリアは?

屋鋪 プロのコーチをトータルで4年間やり、子どもへの野球塾を含めたアマチュア野球の指導は20年以上やっています。また2013、14年は神奈川大のコーチを務めました。ちょうど13年に、濵口遥大(現・DeNA)が入学してきました。プロとアマの違いを感じましたが、チームを強くするために厳しく指導して、14年は全日本大学選手権大会で準優勝を遂げました。20年から社会人軟式野球のソレキア株式会社(IT企業)の監督を務めています。

── 指導するうえで、打撃におけるポリシーはどういうものですか。

屋鋪 基本はレベルスイングです。バットの芯でとらえて、ゴロを打つのではなく、ライナーを打つ。そして内角は引っ張る、外角は流す。構えからテイクバックの動きや、バットの角度やグリップの位置も大切ですが、最も大事なことは間(ま)の取り方。内外角のコースを打ち分ける体の使い方や、高い確率でミートさせるための動きまで、子どもたちにわかりやすく教えています。

── 守備におけるポリシーは?

屋鋪 打球方向を予測するポジショニングです。常に「自分のところに打球が飛んでこい」と、積極的な思いで守ることが大事です。

── 盗塁については、いかがですか?

屋鋪 もともと走ることへの興味は薄かったのですが、スイッチヒッターに転向してから、盗塁することが自分の使命だと考えるようになりました。よく「足にスランプはない」と言う方がいますが、そんなことはありません。そのなかでスタートを切る"勇気"を持つことが大切です。アウトになるのは結果でしかありません。

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