篠塚和典と元木大介が対談で語った、巨人・阿部慎之助監督の指導者像と野手陣のポジション争い (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

篠塚 長野久義や梶谷隆幸もいるしね。

元木 そうですね。小林誠司もそうですが、一軍で使わないなら、言葉は悪いですがほかのチームに出してあげたほうがいいんじゃないかと思います。「打てない」と言われますが、彼が昨季打席に立ったのは20打席もないはず(2023年は9打席)。それで結果を出すのはしんどいですよ。キャッチャーは守りが大事ですが、困った時に誠司がいれば守れます。なので、そういったベテランは大事にしていかないといけないんです。

 外野陣の争いの話に戻りますが、今は「誰がレギュラーなんだ?」と聞かれたら難しいですよね。みんなが同じようなレベルで、ずば抜けている選手がいないので。だから、2年目の萩尾にもチャンスはあるんです。あの守備、肩があればそこそこできます。外野手で本当に肩が強く、ホームで刺せる選手は本当に少ない。そう考えると、状況判断やポジショニングなどが、外野手として重要になると思います。

――丸選手の復活も待たれますね。

元木 当然、スタメンで出なきゃいけない選手です。野球を辞めようと思うのは簡単ですが、そう思い始めたら本当に終わってしまう。自分の体をもう一度いじめられるか、今季は「勝負の年」だと思います。仮に代打専門の役割になれば、それにも慣れていかなければいけない年齢(34歳)にもなっています。1年でも長くユニフォームを着ることを考えれば、何かしら変えていかなければいけません。

 ちなみにシノさんは、ルーキーの佐々木のバッティングはどう見ていますか? ここまでは、いい結果を残してきていますが。

篠塚 積極的に振っていくのがいいね。でも、見送り三振が目につく。秋広などもそうだし、みんなが見送り三振をしていて変な連鎖をしているのかもしれないけど。それと、オープン戦の最初の頃はいいピッチャーと対戦していないから、今後に先発3番手くらいのピッチャーからも打てるかどうかだね。その時にやられちゃうと、パニックになる可能性もある。同じルーキーの泉口友汰もそうだし、若い選手はまず、そこをうまく乗りきっていくことが大事かな。

元木 そこそこのピッチャーが出てくると、名前で負けちゃいますからね。

篠塚 そういうピッチャーと対戦した時に「打てそうだな」と感じられるかどうかだね。

(中編:巨人の投手陣を分析 菅野智之、大勢の状態は? ドラ1ルーキーの課題、クローザーの人選も語った>>)

【プロフィール】

◆篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

◆元木大介(もとき・だいすけ)

1971年12月30日、大阪府生まれ。大阪・上宮高校で通算24本塁打を放ち、1年のハワイ留学を経て、1990年に巨人からドラフト1位で指名され入団。ユーティリティープレーヤーとして活躍し、当時の長嶋茂雄監督からは「くせ者」と呼ばれた。2005年に引退後は、野球解説者を務める傍ら、タレントとしても活躍。2018年にU12世界少年野球大会における日本代表監督に就任し、チームは優勝した。2019年から2023年まで、巨人の一軍内野守備兼打撃コーチ、一軍ヘッド兼オフェンスチーフコーチ、一軍作戦兼内野守備コーチを歴任した。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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