阪神・村上頌樹を変えた巨人・岡本和真から奪った三振 クビ覚悟で挑んだプロ3年目に何が起きていたのか (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

── プロ3年目、一軍で結果を出すために何が必要かと考えていましたか。

村上 真っすぐです。一軍を考えた時、ここが足りないというのははっきりしていて、真っすぐの質がもっとよくなればと、常に考えていました。

── 高校時代から、小柄ながらしっかりヒジを上げて投げ込む回転の効いたストレートが一番の武器でした。しかし、プロではそのストレートが足りなかったと?

村上 ファームなら、それまでの真っすぐでも通用したんです。でも一軍になると通じない。だから2022年と2023年で何が一番変わったかと聞かれたら、真っすぐだと。ストレートの質が変わりました。

── 2022年1月に青柳晃洋投手との自主トレが大きかったという記事を見ました。

村上 ホントにそこです。

── 具体的にどのようなアドバイスを受けたのですか。

村上 しっかり左足を着いてから、自分の力を一番出せるタイミングで投げる。この感覚がバチっとはまったんです。軽く投げている感じでもボールがいくようになったんです。

── それまでは左足を踏み出してすぐ投げにいっていた?

村上 速いボールを投げようとすると腕に力が入って、足が着いたら腕で投げにいってしまっていたんだと思います。それをイメージとしては、腕で投げるのではなく足で投げる。その感覚で投げるとストレートの平均球速も上がりましたし、質も上がりました。

── 左足を着いてから投げるという話を聞くと、智辯学園3年の時に取材させてもらったことを思い出します。当時、投球時に大事にしていることとして「変化球の時こそしっかり腕を振る」「テイクバックでは力を抜き、リリーフで力を集中する」、そして「左足を着いてから投げる」の3つを挙げていました。左足を着いてから投げるというのは、当時から意識していたことですよね。

村上 もともとそこはあったんですが、いろいろ取り入れすぎて迷っていたタイミングで青柳さんに『左足を着いてから』と言われて......。もう一回、ここを信じようとやった結果、はまったんです。ずっとやっていたことだったので、すんなり『この感覚かな』って入っていけたんだと思います。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る