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「現役ドラフト」に出そうなパ・リーグの選手は? 高木豊は変則ピッチャーや貴重なスイッチヒッターの名を挙げた (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【"投手王国"の西武、最下位の日本ハムの候補は?】

――近年、先発ピッチャー陣が充実してきた西武はいかがですか?

高木 西武は髙橋光成、平良海馬、今井達也、松本航など先発ピッチャー陣が整備されてきましたね。昨年はほとんど勝てなかった隅田知一郎も試合を作り、しっかり勝てるピッチャーに育ってきましたし、渡辺久信GMが数年前から目標に掲げていた"投手王国"に近づきつつあります。

 さらに、ドラフトで即戦力の左腕・武内夏暉(國學院大)の交渉権も獲得できましたし、武内を含めて6人(支配下7人中)のピッチャーを指名しました。なので、ピッチャーを現役ドラフトに出す可能性は十分にあると思います。2019年のドラ1右腕、宮川哲(みやがわ・てつ/28歳)あたりもなくはないかなと。昨年まではリリーフで、今年は先発も経験している(4試合に先発し、1勝2敗)ことも強み。ピッチャー陣が手薄なチームのほうが活躍の場が広がりそうです。

 あと、現役ドラフトの候補というわけではないのですが、個人的に気になっているのが渡邉勇太朗です。プロ入り3年目の2021年に4勝したのですが、その頃のピッチングを見た時に「すごくいい素材だな」と思っていたんです。今年ブレイクしたオリックスの山下舜平大と同じような体格をしていますしね(191cm・95kg)。今はくすぶっていますが、このピッチャーが先発のローテーションに入っていくようになると西武としては大きいでしょう。

――日本ハムはいかがでしょうか?例えば、高木さんがバッティングセンスを評価されている淺間大基選手は、今年は13試合の出場と起用される機会が少なくなっています。

高木 いや、浅間は出さないと思います。ワンシーズンを通して集中して野球ができるタイプではなさそうな感じはしますが、僕は日本ハムで一番バットコントロールがいいと見ていますし。
 
 万波中正や松本剛をはじめ、五十幡亮汰、細川 凌平など、新庄剛志監督は足の速い選手を重視する傾向がありますよね。そう考えると、淺間の出場機会がより少なくなる可能性もありますし、新庄監督は気前がいいから出してくるかもしれませんが......。それでも、おそらく出さないんじゃないかと。

――それでは他に、日本ハムで候補を挙げるとすれば?

高木 キャッチャーの清水優心(しみず・ゆうし/27歳)は可能性がありますね。2021年は100試合に出場しましたが、新庄監督になってから出場試合数が減って(2022年は30試合、2023年は32試合)、キャッチャーの中での序列が低くなっています。

 ただ、リードやキャッチングなど、なんでも平均的に"こなせる"キャッチャーは意外と少ない。現役ドラフトに出れば人気になると思いますし、キャッチャー陣の層が薄い巨人や中日などは欲しいと思いますよ。

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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