ロバート・ローズが明かす来日1年目のキャンプでの不安 進藤達哉と石井琢朗の守備に「心の底からヤバイと思った」 (3ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • photo by Sankei Visual

【指導者として日本に来る意思はある】

── それでもローズさんのキャリア、とくに後半は恐ろしい集中力を見せていましたね。1999年は前半だけで100打点。プロ野球史上2位の153打点を叩き出しています。

ローズ そう......そんなことを僕がやったんだね。だけど、これは僕ひとりの力では到底成し得なかったこと。幸運なことに、僕の前にはイシイサン、ハルサン(波留敏夫)、スズキサン(鈴木尚典)という最高のバッターが3人もいた。彼らが塁に出てくれるので僕がやることはシンプルに、「来たボールをいかに強く叩くか」、それだけに全集中できたんです。打ったあとのボールがどこに飛ぶかはコントロールできません。できることは、プロフェッショナルとして最高の準備をすること。そして強くボールを叩くこと。それだけに集中していました。

── ローズさんはマイナーリーグで打撃コーチもされていて、巨人のルイス・ブリンソン選手やDeNAのタイラー・オースティン選手を教えていたと聞きます。気になるのはいずれ指導者として日本であり、ベイスターズに帰ってきたいという意思はお持ちなのでしょうか。

ローズ 望まれたならもちろんだよ。ただ、それは今じゃない。この6月にみんなと会った時、彼らが監督やコーチとしてベンチに入っていると聞いたんだ。その顔ぶれを見た時、勝ち方を知っているし、もうこれ以上のメンバーはいない。最高じゃないかと瞬時に理解したんだ。バッティングはイシイとスズキという最高の人材がいる。今の僕がベイスターズに貢献できるとしたら「真剣に応援する」ということですね。

── 先日のハマスタのライトスタンドでは、牧秀悟選手の顔面Tシャツを着て「真剣に応援する」ローズさんの姿がありましたね。

ローズ すばらしい経験だった。僕の応援歌も流れていてね。応援はこれからもしていきたいと思っているよ。だけど、求められない限りそれ以上のことはしない。なぜって、MLBやNPBの一流と言われるレベルになると、メカニック云々ではなくて、僕はメンタルがすべてだと思っているんだよ。打てたこと、打てなかったことで、多くの選手は自分で抱え込み、考え込んでしまい今までやれていたことができなくなってしまう。それは僕自身も経験してきたこと。その時に、どれだけメンタルをフォローしてくれる人がいるか。それは今で言えば僕よりも言葉が細部まで伝えられるミウラサン、そしてイシイサン、スズキサンというすばらしい人がいる。任せておけば絶対に大丈夫です。

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