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アメリカでWBCは「やるべきか」「やめるべきか」の大論争 プエルトリコ守護神の悲劇にファンや選手から様々な見解 (3ページ目)

  • text by Saku Yanagawa
  • photo by Getty Images

「(この一件で)WBCを非難するのはフェアじゃないと思う。もちろん全力でプレーすればケガのリスクはあるだろうけど、自分の国を代表して戦うってことは本当にすばらしいことなんだ」

 同席したムーキー・ベッツ(ドジャース)も続いた。

「(ディアスの件は)不運なアクシデントだったけど、どこの誰にでもケガは起こりうるものだから。それでもこのWBCでの経験は自分にとって本当に貴重だし、アメリカのほかの選手にも、自信を持って参加を勧めるよ」

 そして、プエルトリコ代表のチームリーダーで、メッツではディアスのチームメイトでもあるフランシスコ・リンドーアはESPNの取材に以下のように答えている。

「今メッツファンがどれほどまでに打ちひしがれているのかもわかる。こんなケガ、僕たちだって起こってほしくなかったさ。だけど、すべてのプエルトリコ出身のプレーヤーにとって、またすべての野球選手にとって自分の国のユニフォームに袖を通して戦うのは最高の名誉なんだ。レギュラーシーズン同様に、僕らにとってもこの大会でプレーすることは本当に大切なことなんだ」

 ディアスも前を向いている。手術を終えベッドの上で、笑顔で映る写真とともにTwitterを更新した。

「僕は大丈夫だ! またニューヨークであのトランペットが聴けるのを楽しみにしているよ」

 ディアスの思いを背負って戦ったプエルトリコ代表だったが、準々決勝でメキシコに敗れWBCは幕を閉じた。だが、これから行なわれる世界一を決める試合がより熱いものとなり、「ワールドシリーズこそ世界一を決める戦い」と信じてやまないMLBファンにも感動を届けることを願ってやまない。

著者プロフィール

  • Saku Yanagawa

    Saku Yanagawa (サク・ヤナガワ)

    アメリカ・シカゴを拠点にするスタンダップコメディアン。2021年経済誌『フォーブス』の選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選出。年間50試合以上をスタジアムで観戦するほどのシカゴ・カブス・ファン。

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